第1回防災マッシュアップコンテスト記念シンポジウム
主旨
インターネットやパソコン、携帯電話などを駆使し、ハザードマップ、気象情報、地域固有の情報など、いろいろな情報やサービスを組み合わせ(=マッシュアップ)、これまでにない新しい観点で、多くの人を救ったり、災害を回避・軽減するのに役立つ防災アプリケーションサービスや、「こんな情報サービスがあったら防災に役立つのでは?」というアイディアを募集してきた「防災マッシュアップコンテスト」。その表彰式と記念シンポジウムを開催しました。
開催報告
第1回防災マッシュアップコンテスト表彰式(結果はこちら)が行われ、引き続き記念シンポジウムが開催されました。シンポジウムには、今回のコンテストの審査委員を務めた中川守さん(株式会社NTTネオメイト)、中村圭吾さん(国土交通省)、臼田裕一郎(NIED)の3名と、NIEDのリスク研究グループ長の長坂俊成が参加。各受賞者から作品を紹介され、それに対して審査委員や会場からさまざまな意見や質問が寄せられました。
会場の様子 |
審査委員 中村圭吾さん |
審査委員 中川守さん |
まず、アプリ開発部門で最優秀賞を受賞した平松達也さんの「災害ボランティア活動支援SNS」について、中川委員は「一般的に使えるようなツールは難しいと思っていたが素晴らしいアプリだと思う。ぜひ企業でも参考にさせていただきたい」と評価。また、平松さんによると、このアプリの開発においては、災害救援ボランティアの育成を目的とする民間団体「災害救援ボランティア推進委員会」と連携し、コーディネーターの立場からさまざまなアドバイスを受け、フィードバックしているとのこと。長坂委員は「被災経験がある地域からはボランティアの受け入れが難しいという声があがっている。ぜひNIEDが開発したオープンソースの相互運用gサーバーの仕組みなども利用され、受援のためのマップを作成・公開して、ボランティアやコーディネーターに活用してもらえるように整備していただきたい」とコメントしました。平松さんは最後に「実用化に向けてさらに開発を進めていきたい」と意欲を示されました。
次に、アプリ開発部門で優秀賞を受賞した有限会社HCCソフトウェアエンジニアリング(代表:大川裕章さん)の「Help Me Tweet」について、中村委員は「最新の安価に使えるサービスを組み合わせたアイディアは素晴らしい。情報の精度も非常に重要になるだろう」と評価。長坂グループ長は「一般情報と専門家の情報をうまく組み合わせることで、twitter情報の信頼性を確保することができるのではないか」とコメントしました。
続いて、同じくアプリ開発部門で優秀賞を受賞した株式会社ビットマイスター(大澤英明さん)が「避難所検索アプリ」について説明しました。中川委員の「災害時に通常経路がどれだけ役に立つのだろうか」との質問について、大澤さんからは「災害時に特化した経路検索のAPIを、国を挙げて整備してほしい。また災害の種別によって避難所も変わる可能性があるが、そうした情報公開も自治体で統一してほしい」との要望がありました。
最後に、アイディア部門で奨励賞(審査委員会特別賞)を受賞した伊藤可久さんから「Guerri Go Rescue」が紹介されました。臼田委員は「防災の研究者は専門的な災害のリスク情報をそのまま伝えようとしがちだが、それに対して、リスク情報を使って仮想世界を構築し、その中で遊びながらやさしく災害リスクが理解できるという点で評価できる」とコメントしました。
これらの各受賞作品については、会場からもたくさんの質問や意見が寄せられ、さまざまなマッシュアップの可能性が議論されるとともに、今後のさらなる作品の開発に期待が高まりました。
アプリ開発部門 /優秀賞 大川裕章さん |
アプリ開発部門 /優秀賞 大澤英明さん |
アイディア部門/奨励賞 (審査委員会特別賞) 伊藤可久さん |
開催概要
日時 | 2010年9月21日(火) 10:00-12:00 |
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会場 | パシフィコ横浜 G空間EXPO内 会議センター304室 |
主催 | 独立行政法人 防災科学技術研究所 |
参加費 | 無料 |
対象者 | インターネットを中心とした情報サービスやアプリケーションに関心のある方、情報を活用した防災の取り組みに関心のある方、アプリケーション開発企業の方、新しい考え方やアイディアに関心のある方、地理空間情報や災害リスク情報の相互運用に関心のある方など |
当日参加人数 | 50名 |
パネリスト |
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ご案内
- 防災マッシュアップコンテストの詳細には、 下記をご覧ください。
→ 防災科研のG空間EXPO特設サイト