第2回 災害リスク情報プラットフォーム研究プロジェクトシンポジウム
開催報告
はじめに
東京国際フォーラムにて、第2回災害リスク情報プラットフォーム研究プロジェクトシンポジウムを開催しました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。配布した資料を公開いたします。
なお、当シンポジウムの内容につきまして、ブックレットとしてまとめましたので、ぜひご覧ください。
→ ブックレット「防災力を向上する地域コミュニティの自治と絆」
概要
本シンポジウムには、企業、自治体、行政機関、NPO、地域の防災リーダーの方など、140名近くの方が参加されました。午前の部では、「災害リスク情害報プラットフォームプロジェクトの展開」というテーマで研究の進捗が研究員により報告されました。午後の部では、「地域コミュニティの被害想定と災害リスクシナリオ」というテーマで、中山間地域である新潟県長岡市山古志地域と、都心へのベッドタウンである神奈川県藤沢市鵠沼海岸5丁目を取り上げ、両地域の住民や行政、NPOの方に出席していただき、災害リスクを軽減する絆と協働の仕組み(災害リスクガバナンス)を活かした地域防災力向上にむけた戦略について、活発な討論が展開されました。
プログラムと配布資料
午前の部10:00-12:00 災害リスク情報プラットフォームプロジェクトの展開
1. プロジェクト全体のコンセプトと進捗状況
藤原広行(防災システム研究センター プロジェクトディレクター)
2. 地域主体で実施する災害リスクガバナンスの再編手法
~被害想定・防災マップ・災害リスクシナリオの作成による
災害リスクコミュニケーションを通じて~
長坂俊成(防災システム研究センター リスク研究グループ長)
3. 地域主体で運用・活用する災害リスク情報活用システム
~「知」を可視化し地域活動を支える「eコミュニティ・
プラットフォーム」と「地域防災キット」~
臼田裕一郎(防災システム研究センター 主任研究員)
4. 手段・道具の地域への適用と実証事例
~地域特性を考慮した防災活動のあり方と新たなる関係の創出~
須永洋平(防災システム研究センター 研究員)
午後の部 13:00-16:30 地域コミュニティの被害想定と災害リスクシナリオ
- 新潟県長岡市山古志竹沢集落と神奈川県藤沢市鵠沼海岸5丁目の概要
- 2地区の地理的位置
- 2地区の自然災害リスクの特徴
- 長岡市山古志竹沢地区の地域防災力向上に向けた取り組みの流れ 発災時の状態(関係者の所在と状況)
- 藤沢市鵠沼海岸5丁目地区の地域防災力向上に向けた取り組みの流れ 藤沢市鵠沼海岸5丁目のWEBGISシステムを使ったリスク情報の共有化
- 地域発防災ラジオドラマの制作過程をみる
- 防災ラジオドラマによるリスクコミュニケーション (藤沢市立鵠沼中学校地区防災連絡協議会の例)
(防災システム研究センター
リスク研究グループ長)
コメンテーター : 坪川博彰 (写真右)
(防災システム研究センター 研究員)
午後第1部 「長岡市山古志地域竹沢集落の実践と課題」
<地域紹介>
<パネリスト>(順不同・敬称略)
- 星野清剛 長岡市山古志竹沢在住(竹沢区長)
- 星野勇 長岡市山古志竹沢在住(竹沢副区長)
- 齋藤隆 長岡市山古志支所地域振興課課長
- 鈴木康幸 長岡市立山古志小学校教頭
- 川上修 ながおか生活情報交流ねっと副理事長
<概要>
平成16年の新潟県中越地震による大きな被害を経て、平成20年に長岡市に編入された山古志地区(旧古志郡山古志村)は、平成21年10月18日に地区挙げての総合防災訓練に取り組みました。
この訓練に合わせて山古志地区の竹沢・梶金の2集落では、次の災害に住民主体で対応するための地震災害シナリオを作成し、防災マップにより地域の情報を共有化したうえで、住民自身による安否確認や情報集約、支所への伝達、学校との連携などの実際的な活動を展開しました。
このために検討されたシナリオは、訓練後に地域住民と地域ボランティア参加による防災ラジオドラマに編集され、地元のコミュニティFM局であるFM長岡より12月に放送されました。
シンポジウムではこの一連の活動に関わった竹沢集落の区長さんと副区長さん、地元NPOの関係者、そして長岡市山古志支所の職員の方や小学校の教頭先生にご登壇いただき、今回の取り組みで明らかになった地域の防災上の課題や苦労された点、さらには過疎が続く中山間地の防災に関する今後の取り組みについてさまざまな角度から議論されました。
午後第2部「藤沢市鵠沼地区鵠沼海岸5丁目の実践と課題」
<地域紹介>
<パネリスト>(順不同・敬称略)
- 佐藤俊平 藤沢市鵠沼海岸5丁目在住
- 大田哲夫 鵠沼中学校地区防災連絡協議会監事、民生委員
- 新倉孝幸 藤沢市役所総務部災害対策課課長補佐
- 水島孝 市民劇団の脚本家
<概要>
首都圏のベッドタウンとして人口40万以上を抱える神奈川県藤沢市は、現在もなお人口が増え続けている大都市です。
しかし地区によっては高齢化とともに災害時の要援護者が増え、地域課題に無関心な都市型住民も少なくないなど、大規模災害発生時の地域防災力の低下が懸念されています。
市の最南部に位置する鵠沼地区では、いわゆるゲリラ豪雨(集中豪雨)による水害対策を地域の最重要課題として、町内会で対応できる範囲と課題についてワークショップで議論し、地域住民自身の手による災害シナリオが作成されました。
水害が取り上げられたのはこの地区が平成16年に台風による内水被害を経験していることがあり、ワークショップでは防災科研の開発したマップシステムを利用した被災経験の共有化も行われました。
作成されたシナリオは山古志地区と同様に防災ラジオドラマに編集され、藤沢市にステーションを置くFM局であるレディオ湘南より放送されました。
都市がもつ防災上の課題や住民特性、地域の歴史的成立過程など、住民でなければわからない知恵(地域知)も語られ、地元関係者、民生委員、行政担当者、さらにはドラマの脚本家の方にもご参加いただき、現在の課題や将来の展望について熱心に議論されました。
その他の配布資料
→ 展示ポスター(3.5MB)PDF
- 災害リスク情報プラットフォーム研究プロジェクト
- 地域の自主防災活動活性化プログラム ~活性化のための3つのプログラムの提案~
- 地域の防災活動活性化の取り組み① ~全国各地での実施状況~
- 地域の防災活動活性化の取り組み② ~愛知県内6市町村での取り組み~
- eコミウェアの紹介
開催案内
開催趣旨
災害に強い社会を構築するためには、市民や地域コミュニティ、行政、ボランティア、事業者等の地域社会を構成する多様な主体が、専門家や過去の被災から得られた知恵を活かし、被害を軽減するための新たな知恵を生み出し、地域社会の絆に基づく協働型の防災戦略を推進することが重要となります。このように災害リスクを軽減する絆と協働の仕組みを「災害リスクガバナンス」と呼びます。防災科学技術研究所では、昨年度より「災害リスク情報プラットフォームの開発に関する研究」プロジェクトを開始し、リスクガバナンスを支える災害リスク情報のあり方や活用システム、そしてこれらを活用した地域コミュニティの防災戦略に関する研究開発に取り組んでいます。
本シンポジウムでは、プロジェクト全体のコンセプトと進捗状況を報告するとともに、災害リスク情報プラットフォームを活用して全国の地域コミュニティの方々と協働で取り組んでいる地域防災活動の実践事例を紹介し、今後の災害リスクガバナンスのあり方について討論します。
開催概要
主催 | 独立行政法人 防災科学技術研究所 |
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日時 | 2009年12月10日(木)10:00~16:30 (開場9:30) |
場所 | 東京国際フォーラム ホールD5(東京都千代田区丸の内3丁目5-1) |
参加費 | 無料 |
対象 | 地域の防災リーダー、地区自治組織のリーダー、防災や地域協働に携わる自治体職員や研究者、災害ボランティアリーダー、市民活動団体、その他地域活動に関心のある方々 |
参加申込 | WEBまたはFAXによる事前登録制(先着100名程度・申込順。ただし、午後のシンポジウムにつきましては定員を超えた場合は、自治体関係者及び地域の防災リーダーの方々を優先させていただきます。) |
申込方法 | 終了しました |
シンポジウムのチラシ
→ シンポジウムのチラシ (621KB)PDF
プログラム
午前の部「災害リスク情害報プラットフォームプロジェクトの展開」
- プロジェクト全体のコンセプトと進捗状況
藤原広行 (防災システム研究センター プロジェクトディレクター) - 地域主体で実施する災害リスクガバナンスの再編手法
~被害想定・防災マップ・災害リスクシナリオの作成による災害リスクコミュニケーションを通じて~
長坂俊成 (防災システム研究センター リスク研究グループ長) - 地域主体で運用・活用する災害リスク情報活用システム
~「知」を可視化し地域活動を支える「eコミュニティ・プラットフォーム」と「地域防災キット」~
臼田裕一郎 (防災システム研究センター 主任研究員) - 手段・道具の地域への適用と実証事例
~地域特性を考慮した防災活動のあり方と新たなる関係の創出~
須永洋平 (防災システム研究センター 研究員)
午後の部「地域コミュニティの被害想定と災害リスクシナリオ」
コーディネーター : 長坂俊成 (防災システム研究センター リスク研究グループ長)
コメンテーター : 坪川博彰 (防災システム研究センター 研究員)
午後第1部 「長岡市山古志地域竹沢集落の実践と課題」
趣旨:全村避難というこれ以上の最悪の事態はないと思われた中越地震から5年が過ぎ、初めて行うこととなった本格的な防災訓練。竹沢集落の住民が訓練に先立ち考えた被害想定は?被災地に求められる災害対応のシナリオは?行政と集落、学校との連絡や連携は?…このような課題に対して取り組んだ実践事例を踏まえ、あるべき地域防災力向上戦略について討論します。
<パネリスト>(敬称略・順不同)
- 星野清剛 長岡市山古志竹沢在住(竹沢区長)
- 星野勇 長岡市山古志竹沢在住(竹沢副区長)
- 齋藤隆 長岡市山古志支所地域振興課課長
- 鈴木康幸 長岡市立山古志小学校教頭
- 川上修 NPO法人ながおか生活情報交流ねっと副理事長
午後第2部「藤沢市鵠沼地区鵠沼海岸5丁目の実践と課題」
趣旨:大型の台風の襲来や頻発する、いわゆる「ゲリラ豪雨」、迫りくる大地震に対し、町内会として自主的に備えなければならない都市型地域。平日の昼間にベッドタウンを襲う災害リスクとは?要援護者の安否確認や避難誘導は?指定避難所の役割は?学区など町内会を超えた広域的な連携の仕組みづくりは?…このような課題に対して取り組んだ実践事例を踏まえ、あるべき地域防災力向上戦略について討論します。
<パネリスト>(敬称略・順不同)
- 佐藤俊平 藤沢市鵠沼海岸5丁目在住
- 大田哲夫 鵠沼中学校地区防災連絡協議会監事、民生委員
- 新倉孝幸 藤沢市役所総務部災害対策課課長補佐
- 水島孝 市民劇団の脚本家