今回の桜島では、その前の口永良部島、箱根山、さらには御嶽山の噴火事故にもかんがみ、念には念を入れた措置が取られたようです。今後の推移はわかりませんが、結果的に大きな噴火が生じなくても、今回の経験は火山噴火が予期された場合に、事前には何ができるのかを検証するよい機会になったことは事実でしょう。火山学的にどこまで活動が予測されたかの検証はこれから進められるとして、生活基盤を一切捨てて避難することは決して容易なことではありません。予防的措置としての避難によって生じた損失も少なからずあると思いますが、そのようなリスクもどう対処すればよいか、火山リスクと向き合う地域は十分に検討する必要があります。
科学にはまだ解明できていないことがたくさんあります。火山の噴火がきっちりとできるようになるにはまだかなりの時間がかかるでしょうが、それまでの間は噴火警戒レベルというリスクコミュニケーションのための指標を上手に活用して、火山災害のリスクをできる限り抑えるような努力が必要です。一部の報道には噴火警戒レベルをあたかも「振り上げた拳」のように扱っているような雰囲気も感じられますが、リスクには必ずあいまいさが伴うのだということを前提に、逐次柔軟に対応ができるよう、一人一人の意識も変えてゆくことが今求められているのではないでしょうか。
気象庁の火山の噴火警戒レベル(各火山のリーフレットも読めます)はこちら