第3回国連防災世界会議(WCDRR)仙台2015にあわせて、我々のプロジェクトもパブリックフォーラム「第5回防災コンテスト表彰式&シンポジウム」を14日(土)に仙台市内で開催しました。当日は受賞者の方々だけではなく、いろいろな地域や立場の方々にご参加いただき、狭い会場でしたが熱気あふれるイベントとなりました。今回で5回目のコンテストとなりますが、毎回このコンテストの趣旨が適切に伝わっているのだろうかと思いながら運営しているのが現実です。それは我々の企図しているものが「よい作品作り」なのではなく、「良い作品作りを通して社会(地域)を変えていく」ことにあるからです。コンテストは第1回目の時から学生グループの皆さんに多く参加していただいていますが、この学生参加というパターンは、作品として斬新な視点や技術的に優れたものができる一方で、社会との接点という面では物足りなさを感じたり、疑問を感じるものが少なくありませんでした。
我々のコンテストがマップにせよドラマにせよ情報機器を活用することが多いために、若い世代にとってはツールが身近で操作も手慣れたものである一方、高齢者にはなかなかなじめない形態であるのも事実です。そのため作品だけは器用に作っていても、それで終わりということでは、このコンテストが最も評価する趣旨は達成されません。「ささやかだけれども、自らの手で社会は変えることができるのだ」ということを実感できる取り組みを目指しているわれわれとしては、何とか克服したい永遠の課題でもあります。今回いくつかの学生グループによる作品で、地域の防災イベントで作品発表されたりしているのを見ると、良い方向が見えてきたと感じています。自分がその世代(学生)だった時のことを思うと、隔世の感があります。案外、携帯情報端末はそのような世代をつないだり、規制の枠組みを超える意味もあるのかもしれません。そのような作品(世代を超えた防災がわかるもの)もありますので、作品公開のページをぜひご覧ください。
一方で、リアル世界での接点はやはり希薄になりつつあります。見ず知らずの人に声をかける割合は、だんだん低下してきているように日々感じています。携帯だけで情報を調べて、人にものを聞くという習慣が失われつつあることも私たちは日常で感じているのではないでしょうか。あらゆることが自己完結してしまう社会は、効率的で無駄のない社会なのかもしれませんが、一方でつながりまでが失われてしまう気もしないでもありません。リアル社会はちょっとぐらい不便なほうが、日常的な支え合いが生まれて却ってよいのではないかと思えたりするのですが、どうなのでしょうか・・・・