先週末から今週にかけて、千葉県流山市、愛媛県新居浜市と、東西2か所の地域防災活動支援のためのお手伝いや講演に行ってきました。流山市と防災科研とはここ数年防災のための共同研究に取り組んでおり、TX効果による人口増加が進む首都圏ベッドタウンの代表地域として、また首都直下地震の想定被害地域内の自治体として、私たちも注目しています。一方新居浜市は来るべき南海トラフ地震の影響が懸念され、新たな想定では瀬戸内海沿岸側でも津波想定が引き上げられ、さらには日本最大級の活断層帯である中央構造線に対峙する自治体でもあり、地震対策が重要になっています。新居浜市は市が直面するこのような状況にかんがみ、地域防災を市民の手で取り組む活動を進めるため、eコミシステムを活用した防災マップ作りに取り組まれ、今年度の第5回コンテストで見事に最優秀賞を受賞されました。来る3月14日に仙台で開催される表彰式とシンポジウムでは、作品を作成された地域の方々ご自身に登壇していただき、お話が伺えるのが楽しみです。
このような取り組みがじわじわと広がる一方で、地域防災がなかなか進まない地域も少なくありません。結局は市民自身が主体的に取り組まなければ地域が変わったといえるわけではなく、行政だけががんばっても結局は空回りするだけというところも出てきます。先日は世田谷区奥沢地区の防災活動(防災塾)の集いにお声をかけていただき、参加してまいりました。地域の皆様からこれまで取り組まれてきた活動内容をお聞かせいただき、地域の特性や直面する災害リスクの性質などを踏まえて、さまざまな工夫を凝らしながら取り組まれているのをお聞きすると、主役は市民自身であり、主体性が確立している地域は何事にも強いなというのもよくわかります。
そのための第1歩として、自分の地域の防災力はどの程度なのかをまず診断してみようという試みがいろいろ試みられています。内閣府でも土砂災害、風水害の防災力の地域診断のサイトをオープンしています。(土砂災害の場合)評価されるのは、土砂災害危険の認知度、防災体制の整備土、避難誘導力、情報伝達力、自主避難の判断力、そして監視警戒力です。これらをまとめたレーダーチャートで結果が見られます。
このような仕組みでまずは地域の現状を考えていただき、そこから進み始めるというのも、地域防災の取り組みの入り口として大きな意味があると思いますので、お時間がありましたら是非トライしてみてください。
左:新居浜市防災士会記念講演会(改訂されたハザードマップを説明する市の担当者の方)
右:流山市地域交流会(背中は李研究員です)