私たちはあまり意識していませんが、統計というのは国を運営するのに欠かすことのできない大切な要素です。国勢調査や住宅統計調査など、私たちの身近ではいろいろな統計調査が行われていますが、社会制度のかなりの部分がこれらの調査結果に基づいて決定されたり、政策づくりの基礎に使われていることを知ると、あたらおろそかにすることはできません。まさに統計は国を支える大きな「事業」ともいえるでしょう。日本の社会統計の中核になっているのは総務省統計局ですが、こちらではだいぶ前から収集された統計データを誰にでも使いやすい形(エクセル形式のデータなど)で公表しています。いよいよ今月からこれらの公表形式にGIS機能を拡充させ、地図で理解できるようになりました。大変便利なので、ぜひ利用したいものです。
ところで、我々の関心のある「リスク」を空間的に理解するという点で必要なものとしては、自然災害だけではなく「事故」や「犯罪」もあるでしょう。警視庁では都内で起きているさまざまな犯罪のマップをWEBサイトで公開しています。これを見ると、どこに、どういう種類の犯罪が多く起きているかがよくわかります。注意しなければならないのは、事故や犯罪はそこに人が多くいればいるほど多く発生するのは当然なことで、単に事象の空間密度が高いからと言って、そこが単純に危ない人が住んでいるなどと受け止めてはいけないということです。駅などのターミナルはやはりトラブルが多く発生するので、それを割り引いてみてみると、意外なところに集中していることもわかったりして、いろいろ考えさせられます。皆さんもぜひ自分の行動範囲のいろいろなリスクを空間的に確かめてみてください。