大みそかから正月にかけて、埼玉県で連続して放火火災が起きていることが報道されています。火元となった家に空き家が多いことから、明らかに不審火とみられるわけですが、今の日本では空き家はどんどん増加していく方向にありますので、これからはそのようなリスクも視野に入れておかねばなりません。今のところ戸建てが注目されていますが、早晩共同住宅でも空き家の管理をどうするかが大きな地域問題となるでしょう。
実際私も会社員時代に都心に勤務していましたが、きわめて狭小な(20平米というような)ワンルームマンションが林立した時期があって、それらは最初のうちは借り手もいたのでしょうが、今となっては不良債権のようになっているケースも少なくないと思います。家族向け、永住型のマンションでも、大規模修繕や建て替えなどの合意形成にはそれなりの労力を要しますが、このようなあたかも投資目的のようなマンションでは、オーナーがそもそも揃って議論すること自体が不可能なのではないでしょうか。かくして空き家がどんどん増え、作っては壊しという、無駄なサイクルが継続されてしまいます。
技術革新が進み、以前は一生に一度の買い物だったさまざまな家電製品がどんどん使い捨てになったように、家も必要な時に必要なものを安価に調達できるようにすればよいというのは、かなり疑問だと私は思います。むしろ家こそは一度作ったら100年程度は確実に維持できる性能と耐久性のものであってよいのではないかと思います。そして中古のものでも立派な性能が維持できていれば、それなりの価格で市場取引できるようにすることが結局はお得でしょう。それは安全な街をつくるうえでも、また環境を考える上でも効果があると思います。
人口減少時代にこれ以上の新築住宅は必要ありません。新築住宅を建てるなら同じ数だけ空き家を整理することをハウスメーカーに義務づけないといけないような時代になったのかなと思う今日この頃です。
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防災情報研究部門
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茨城県つくば市天王台3-1