11月22日の夜に発生した長野県北部の神城断層の活動とみられる地震では、長野県白馬村や小谷村など、主に北アルプス地域の市町村に被害が集中しました。被災地はもう降雪が始まったようですが、本格的な雪の季節を迎える前に、仮住まいなどの手当てが進められることが一番の課題になっています。今回の被災地は2011年3月12日(東日本大震災の翌日)に長野県栄村に大被害を与えた地震よりも西側に当たり、きわめて狭い地域に被害が集中しているようです。最大震度的にも2011年では6強でしたが、今回は6弱で、ちょっと小ぶりの地震というところでしょうか。それでも建物の全壊が集中しているところもあるので、これからの雪の季節に2次災害が生じないように、被災していないように見える建物でも安全性のチェックは不可欠ですね。
さて社会の高齢化は都市部よりも郊外で急速に進んでおり、長野県でも決して例外ではありません。健康長寿の県として知られている長野県ですが、地域によって高齢化の差はかなり開きがあります。意外なことですが今回の地震による中心被災地である白馬村は平成25年統計で高齢化率(65歳以上の人口比)が26.0%と、県内では7番目に低い自治体となっており、従属人口指数(60.7%)では県内2番の低い町(1番は南箕輪村)となっています。従属人口指数というのは年少人口と高齢人口との合計を生産人口で除したもので、いわば働いている人たち一人当たりで何人を養っているかを示すような指数です。高齢者でもいまや一方的に養われているわけではありませんので、従属人口といういい方にはちょっと不愉快な感じもありますが、ともあれ白馬村が意外に若い人たちの多い村であることがわかります。
これと対照的なのが同じ被災地である小川村で、こちらは高齢化率(42.4%)、従属人口指数(108.8%)ともに県内で7番目に高く、まさに超高齢社会にあることがわかります。被災地に対する支援はその地域の社会的特性を十分に勘案する必要があり、仮に復興するとしても同じ街づくりのままで進めるのか、それとも震災を契機にして新しい道を選ぶのか、住民の中で十分に時間をかけた議論が必要でしょう。被災地それぞれが異なる復興ビジョンを描いても十分対応できるような、そういう制度設計が必要な時に来ているように思います。
市町村名 | 高齢化率 | 老年人口指数 | 老年化指数 | 従属人口指数 |
長野市 | 26.28 | 44.13 | 190.54 | 67.28 |
松本市 | 24.92 | 40.98 | 179.32 | 63.83 |
岡谷市 | 30.25 | 53.75 | 226.93 | 77.44 |
中野市 | 27.06 | 45.95 | 195.92 | 69.41 |
大町市 | 32.60 | 58.55 | 283.10 | 79.23 |
飯山市 | 32.26 | 57.67 | 274.91 | 78.65 |
松川村 | 28.39 | 48.62 | 214.99 | 71.24 |
白馬村 | 26.01 | 41.81 | 220.87 | 60.74 |
小谷村 | 35.52 | 66.40 | 324.25 | 86.88 |
信濃町 | 35.75 | 66.49 | 340.78 | 86.00 |
飯綱町 | 32.90 | 58.67 | 298.81 | 78.30 |
小川村 | 42.36 | 88.45 | 435.09 | 108.77 |