北海道の広い大地に抱かれて共働学舎新得農場は今日も多くのスタッフで活気に満ち溢れています。農場に付設されたチーズ工房ミンテルにはいると、明るい声で迎えられます。共働学舎は自由学園出身の宮嶋真一郎氏が長野県北安曇郡小谷村に開設した心身にハンデのある人たちの生活の場としてスタートしました。いまは東京都、長野県、北海道にそれぞれ拠点をもち、全体で150名ほどのメンバーが共働の実践をしています。なかでも新得町にある新得農場は酪農と農作物の生産を行い、チーズの品質評価では非常に高い(世界的な評価でもグランプリをとるほどの)施設に成長しています。
東日本大震災が起きたことで、これまでの価値観を根底から覆された人も一杯いたと思います。特に私たちの生活を支えるエネルギー需給の面で、電力に依存する生活がどれほど不安定で儚いものであったかを深く思い知りました。いまあれから3年半、もはやあの時の電力危機を忘れかけているのではないでしょうか。
共働学舎で作られるチーズにももちろん電力は必要です。しかしそこには私たちが利便性を追求するあまり、湯水のように使ってきたエネルギー観とは大きく異なるものがあります。微生物が働き,発酵することで作られるチーズが持つ生命の本来の意味を、私たちは今一度問いかけてみることも必要だと思います。