異常気象の問題がなくても夏は暑いものと相場が決まっていますが、6月の頭に北海道の中央部が36度を超すような猛暑に見舞われたりすると、やはり気候が少しおかしくなってきているのではないかと不安に駆られるのも当然という気がします。人類が地上に登場してから数万年経つわけですが、その最後の数千年、とりわけ最後の百年ほどで私たちは膨大な量の化石エネルギーを消費し、地球にかつて経験したことのないほどのインパクトを与えています。これが異常でないとはとても言えない状況でしょう。
エネルギーの消費を抑え、かつ都市を排熱から少しでも守るために、いま緑化が注目されています。もちろん都市公園の整備も大事ですが、もっとずっと手っ取り早いのではないかと思われるのが既存建物の屋上に緑を増やすこと、いわゆる「屋上緑化」です。つい先日、銀座の某有名デパートの屋上に行く機会がありました。かつてデパートの屋上といえば子供たちのパラダイスでしたが、そこはいまや見るかげもなく、カフェテリアになったり、夏場はビヤホールになったりしています。それくらいならむしろ緑を増やして、買い物客が少しでも憩えるような空間を作り、併せて都市の排熱を下げる効果も期待したいところですが、なかなかできないのでしょうか。それでも東京都はだいぶ前から屋上緑化に取り組んでおり、条例も策定して支援していますから先進的な自治体になるのでしょう。これから2回目のオリンピックを迎える東京が、海外から来た人たちに「緑豊かな素敵な街だった」と印象付けられるような都市であれば素敵です。宇宙から見た衛星画像の首都圏は、ずいぶん緑が減ってきているような印象を受けます。
つい先日(5月24日)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が陸域観測技術衛星だいち2号(ALOS-2)を打ち上げ、無事に軌道に乗りました。この衛星は合成開口レーダ(LバンドSAR)と呼ばれるものを搭載しており、私たちの住む日本列島がどのような緑地状態になっているのかも観測することができます。間もなく画像も公開されそうですので、楽しみです。この衛星には昼夜間問わず観測が可能なバンド(波長)のレーダを搭載していますので、防災分野での活躍も期待されています。分解能の高くなったレーダにより、災害時にも被災地の現状が手に取るようにわかる日になるのもそう遠くないかもしれません。