山岳遭難ではどうやって救助・救援を要請しているのでしょうか。平成24年の警察庁調査によれば、約7割のケースが遭難現場から携帯電話や無線によって救助要請を行っているようです。携帯電話は確かに便利なツールですが、バッテリーが切れたり、通信エリアが制限されますので、利用には注意が必要です。あらため各キャリアの通話可能範囲をWEBで調べてみると、どの会社も山間地は圏外になっているところが多いことがわかります。これから山に登ろうという場合には、予備のバッテリーを用意し、あらかじめどこまでが通話可能範囲か、事前に確かめておくことも必要でしょう。それと単独登山による事故率は複数登山と比べると2倍も高いという事実も知っておく必要があります。単独行は危機に陥っても支援が求めにくいことを十分理解して、どんな軽度な登山でも基本的には複数で行くことが望ましいでしょう。
警察庁は山岳遭難の未然防止対策として、以下のようにまとめています。
○ 登山計画の作成、提出
気象条件、体力、体調、登山の経験等に見合った山を選択し、登山コース、日程、十分な装備、食料等に配意して、余裕のある、安全な登山計画を立てる。単独登山はできるだけ避け、信頼できるリーダーを中心とした複数人による登山に努める。また、作成した登山計画書は、家庭や職場、登山口の登山届ポストなどに提出しておく。
○ 危険箇所の把握
計画を立てるとき、滑落等の危険箇所を事前によく調べる。
○ 的確な状況判断
視界不良・体調不良時等には、滑落、道迷い等のおそれがあることから、状況を的確に判断して早めに登山を中止するよう努める。
○ 滑落・転落防止
滑りにくい登山靴、ストック等の装備を有効に使用するとともに、気を緩めることなく常に慎重な行動を心がける。
○ 道迷い防止
地図とコンパス等を有効に活用して、常に、自分の位置を確認するよう心掛ける。
団塊の世代の方々の集団離職が社会に与える影響はさまざまです。年金財政は年々厳しさを増していますし、一方で体力・行動力のある方々が多いので、さまざまなレジャーに時間を割く余裕から高額なツアーや登山などのリスクを伴う活動もかなり盛んになっています。安全で楽しい登山にするために、上記事項を意識して臨みたいものですね。