暖かくなってくると次第に増えてくるのが水難事故です。今年もすでに全国さまざまな地域で事故が起きていることが報道されています。５月１８日には滋賀県で親がバーベキューの準備をするために目を離したすきに２歳の子供が溺れるという事故がありました。楽しい家族の団欒があっという間に崩れてしまったとてもいたましいものです。水の事故は水深の浅いところで意外に多く発生しています。大人でも３０センチもあれば溺れるという話もあるようですので、浅いからと言って気を緩めてはいけません。
 

警察庁はさまざまな災害、事故や犯罪によって人の命にかかわる事態が起きるものについて、統計的な調査分析を行って定期的に資料を公表しています。水難事故についても毎年６月ごろに、前年の事故の分析を行った資料が出されています。間もなく平成２５年の統計も公開されると思いますが、今の時点で最新版の平成２４年中における水難の概況から、特徴的な傾向などを見てみましょう。まず水難事故の発生件数ですが、平成２４年は１４４８件で、水難者数は１７１４人でした。このうち亡くなられたり行方不明になった方は７８２人に上ります。水難事故の半分近く（約４９％）は６月から８月にかけて発生しており、まさに今もっとも気を付けなければならないシーズンに突入しようとしています。地域的にみると最も多いのが静岡県で７５件、次いで沖縄県６９件、兵庫県６５件となっています。場所としては水難事故の約５２％が海で起きていますので、海水浴場などが多い地域に事故が集中するのは当然かもしれません。
 

ところで近年発生した水難事故で、多くの方の記憶に刻み込まれているのではないかと思う事件に神奈川県足柄上郡で発生した玄倉川の水難事故（１９９９年）があります。これは河川の中州でキャンプをしていた職場同僚を中心とした家族、友人など１８名が雨で増水した川に流され、うち１３名が命を落とすといういたましい出来事でした。その場所で雨が降っていなくても、上流に強い降水があると河川が急激に増水することはよくあることで、この事件では警察や消防などから再三にわたる警告があったにもかかわらず、増水前に移動しなかった被害者側の責任も問われた事件となりました。河川には上流にダムなどがありその放水で短時間で増水する恐れのある河川には必ずそれを知らせるサイレン（放流警報サイレン）などの案内（板）があります。これをよく頭に入れておき、また危険性のある場所に野営などをするときには天気予報などをよく確認して、危なくなったら避難するのではなく、安全なうちに避難するように意識を高めておきたいものです。


痛みも怪我も自己責任（西沢渓谷で）