ここ数日は大気の状態が不安定で、竜巻や雷、雹が発生しやすい気象状況にあるようです。気象庁からも今日は竜巻注意報が我々の研究所のある茨城県全域にも出ています。思えばあのつくば市北条地区を襲った猛烈な竜巻(死者1名、負傷者数十名)が発生したのも2012年5月6日で、ちょうどこの時期でした。春から夏にかけて大気が不安定になる時期は警戒が必要です。竜巻の正確な発生場所を事前に特定するのは難しいですが、空が急に暗くなって来たり、雷の音が聞こえてきたりしたら早めに対応を考える必要があります。鉄筋コンクリートのしっかりした建物ならほぼ確実に命を守れるのですから、素早く行動できない要援護者などには避難できる場所を臨機応変に選べるようにする環境整備も求められます。
さて、このような大気不安定な状況では雷や竜巻だけでなく「雹」が発生します。気象学では雹が降ることを「降雹」と呼びますが、これまでに起きた記録ではバングラデッシュでは重さ1キロの雹が降ったとか、日本でも埼玉で3.4キロの雹が降ったとかいろいろあるようですが、こうなるともう凶器そのものです。人に直撃したら命の危険は極めて高いですし、車のボンネットなどが簡単にへこみそうですので、こういう時は青空駐車を悔やむこともあるかもしれません。
私の記憶しているところでは2000年の5月24日に、千葉県北部から茨城県南部にかけて広範囲に降雹があり、学校などの窓ガラスが大量に(1500枚以上)割れたケースがありました。このときは雹がまるで雪が降ったように一面に地表を覆い、住宅や車庫の屋根が被害を受け、さらに農作物にも甚大な被害が出ました。けがをされた方も160名を超え、被害総額は千葉県の推定で60億円を超えたと言われています。意外に知られていませんが、雹による住宅や車の被害は住宅や車の保険によるカバーの範疇になります。保険は契約者からの請求がなければ保険金の支払いは行われないのが原則ですので、もし不運にも被災された場合には、契約されている保険会社に連絡することをお忘れなきよう。