STAP細胞に関して理化学研究所が本日調査結果を公表しました。科学に関して何か問題が起きるたびに第三者委員会が組織され、現場で行われたことの正当性を検証することについては、毎度のことながら釈然としない気がするのは私だけではないと思うのです。結論から言えばそれは現代科学そのもののわかりにくさからくるのはのでしょうけれども、第三者委員会といっても結局は同じ分野の専門家による組織にならざるを得ず、利害関係はないことは当然としても、最先端の研究であればあるほど評価できる人材が限られているのですから、結局は毎度おなじみのメンバーによる判断ということになるからです。正しかったかどうかを判断するのにはきわめて高度な専門知識がいるのであれば、これはもう門外漢には意見をさしはさむ余地もないといわれてしまっている印象がぬぐえません。
どのような高度な科学でも、それが一般社会に役立てられるには実用的な理解のステップを踏むことがとても大事で、そのための専門的人材、すなわち高度な科学リテラシーを備え社会に解説し情報発信できる人材が必要です。4月2日付の東京新聞は1面すべてをSTAP細胞の問題に割いてわかりやすい解説を加えていました。これをまとめるためには科学部のスタッフが中心となって尽力されたと思いますが、大変わかりやすく、門外漢にも争点となっているポイントがよくわかるようになっています。
第三者性を確保するのであれば、いわゆる専門家ムラの中だけではなく、専門家の研究を広く平易に解説できコメントできる人材も含める必要がありそうです。そうでないと科学は象牙の塔の中で、限られた科学者だけが評価し理解できる魔術のようなものになってしまうのではないでしょうか。