東日本大震災を契機にして、さまざまな制度改定が行われていますが、意外と知られていないものが多いようです。先日もある防災の講演会で地区防災計画に関する制度改定が行われつつあるということを話したのですが、第一当事者であるはずの住民の方々にはまったく情報が届いていないようでした。日本はさまざまな制度があるにもかかわらず、その利用頻度が低かったり、周知がなされていなかったりと、いろいろな点で問題があるように思います。
このような中、昨年12月に新しい法律として「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」が公布、施行されました。これは今後の大災害に備え、地域防災力の核となる消防団を活性化させ、もって地域自身による支えのための能力を高めることを狙いとしたものです。消防団の活動がなかなか難しい状況にあることは以前にもこのブログで触れましたが、この法律では消防団活動を活発化させるために、まず団への加入の促進、兼職の特例措置などを定め、それを制度的に支援するために団員の処遇改善、装備や相互応援の充実、教育や資格制度の充実などをうたっています。我々の研究所のあるつくば市においても、消防団は地域防災の核として重要な役割を担っていて、私も講演などで消防団の方々と一緒になることが多くなっています。
面白いのはこの法律には消防団に限定された事項以外のものも含まれていて、第21条には防災に関する学習の振興という項目があり、「国及び地方公共団体は、住民が、幼児期からその発達段階に応じ、あらゆる機会を通じて防災についての理解と関心を深めることができるよう、消防機関等の参加を得ながら、学校教育及び社会教育における防災に関する学習の振興のために必要な措置を講ずるものとする」となっています。防災科研も、もっと消防団の方々に使っていただけるような、現場の防災に役立つコンテンツの開発に尽力する必要があると、痛感する次第です。