東日本大震災から3年が過ぎました。被災地も非被災地も、被災者の方々もそうでない方々も、3年前のこの日のことは決して忘れないことでしょう。時間の経過とともに意識が薄れることを防ぐための取り組みも、いっそう進める必要があります。
ところで、あまり報道されませんが、大きな災害が起きるとそれに関連してさまざまな形の犯罪が発生することもまた事実です。いま日本社会では急速に進んだ高齢化によって、高齢者をターゲットにした犯罪が増えています。振り込め詐欺に代表される犯罪は、行政からの連日の呼びかけや、金融機関での水際の防止活動にもかかわらず、年々その被害額を増してきています。災害がらみの犯罪には被災者をターゲットにしたものとそうでないもの(非被災者をターゲットにしたもの)とがありますが、前者ではたとえば被災した家の補修を行うという業者にたちの悪いものがいると、必要以上の補修を行おうとしたり、意味のない工事をしたりするものがあります。これは判断力が低下した被災者の弱みに付け込むわけで、決して許されません。また補助金や支援金が出るという誘い言葉で、一部負担金が必要などと言ってくるケースもあるようです。一方、非被災者が災害がらみで巻き込まれるケースとしては、義援金を語って金を募ったり、被災者やその関係者を装って詐欺を働くケースもあるようです。
冷静になって考えてみれば、かなりのケースは「いかにも怪しい」ものなのですが、災害で気が動転したり、大切な人を亡くしたりした後には正常な判断力がないこともあって、周りからの支援がぜひとも必要です。
東日本大震災の被災地での礼節を欠くことのなかった行動が世界に賞賛された日本でしたが、その後ろで目に見えない犯罪が横行することは決して許されるものではありません。そのようなことがないよう、信頼のおける第三者との関係づくりも、今の日本社会の急務と言えるでしょう。
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