早いものであと2か月もしないうちに東日本大震災から3年が経とうという状況になりました。ここにきて石巻市立大川小学校の児童、教職員多数が死亡した事件で、「検証報告書」が出されようとしています。いま、その最終報告書案が公開されていますので、まだ目を通されていない方には一読をお勧めします。この検証作業に関しては、実施自体が遅すぎるという批判や、検証委員の調査作業への関与に関する批判など、さまざまな声が上がっていますが、今回公開されている(案)も、率直に言えばかなり疑問を感じる内容ではあります。
報告書本体は実に140ページにも及ぶ大作なのですが、一番肝心な児童、教職員など被災時に学校にいた関係者のそれぞれの行動が、あまりに解明されていません。どこにいた人が何を考え、それぞれどのような行動をしたかは、今回のような犠牲者があまりにも多い事案では解明することが難しいとは思いますが、全体としてみると地域の普段の防災意識や他の学校の対応など、あまりにも周辺情報が多すぎます。もっと端的に犠牲になった人々にはどのような問題があったのかをわかるように記述し、出来れば具体的な行動線を、図表にして表現してほしいところです。確かに無くなられた方々の尊厳の問題もあるとは思いますが、個人情報に関する配慮を十分にしたうえで、より具体的な事実関係を明らかにしない限り、教訓も得られないように思います。必要なのは責任解明ではなく、事実解明なのですから。
提言についても24も示されていますが、どれもこれも当然の内容で、あまり新鮮味がありません。ともすれば学校関係者を中心にして、防災に関する課題が沢山提示されているだけに見えないこともありません。年度末に向けて、私たちのチームもいろいろな学校防災への支援が求められています。学校という防災にとって非常に有意義な活動集団をどう活かすか、我々もさらに真剣に努力を積み重ねていきたいと思っています。