いよいよ今年も残すところひと月を切りました。慌ただしい年の暮れにまたも山の事故の報道が相次いでいます。11月23日には立山連峰の真砂岳で大規模な雪崩が発生し、7名が死亡。さらに12月1日には富士山御殿場ルート9.5合目付近で4人の登山客が滑落し、2名が死亡したと伝えられています。最近の山岳事故は比較的年齢の高い方が多く、もちろん初心者が巻き込まれる事故もありますが、富士山のようにベテランでも死亡事故に遭うことも多くなっています。登山客の高年齢化が進んでいる可能性もあるので一概には言えませんが、団塊世代を中心に登山がある種のブームにある現在、これからも60歳以上の方々の関わる事故が増え、その度に「なぜ防げなかったのか」という問いが繰り返されるように思います。
昨年(平成24年)は年間の山岳遭難事故の発生件数が1988件、遭難者数が2465人と昭和36年以降最も多い数字となっており、警察庁生活安全局からは注意喚起のためのレポート「平成24年中における山岳遭難の概況」が公開されています。統計によれば、40歳以上の方々の遭難が74.5%(死亡率では89.4%)を占め、さらに60歳以上が49.8%(死亡率では68.3%)と、ほぼ半分を占めているという事実は重く受け止めねばなりません。
警察庁では登山事故を防ぐために、以下のような注意点を挙げています。1.登山計画をきちんと立て、単独では登山せず、計画は登山前に登山ポストや家族などに知らせておく。2.登山コースにある危険個所をよく事前把握しておく。3.状況判断を適切に行い、決して無理をしない。4.滑落・転落防止のために適切な道具を用いる。5.地図やコンパスを活用して、常に自分の位置の把握に努める。長野県、北海道など登山コースの多い県では、独自に事故の傾向を分析して、資料を公開していますので、それらも利用したいものです。もちろん携帯電話は有事の際の連絡に欠かせません。予備のバッテリーも用意して、万全の態勢で事故のない登山を楽しみたいものです。