伊豆大島の豪雨災害による死者が20名を超えました。懸命の捜索活動が続いていますが、土砂災害時の救助の困難さは筆舌に尽くしがたいものがあります。報道によれば、今回の災害対応に関する時系列的な状況も徐々に公開されているようで、どこに問題があったのか徹底的に解明しておくことが今後のために必要です。
気象庁のホームページから伊豆大島で観測された10分間降水量をグラフにしたものを作ってみました。15日の朝から降り続いていた雨は19時頃やや弱まりましたが、23時ころから本当に猛烈になり、その後、日付が変わり16日の2時頃には10分間で20ミリというとんでもない大雨になっています。それが2時間も続いたのですから、たまったものではありません。
時系列で対応を見ていくと、元町神達地区で住宅が倒壊したという連絡が入ったのが2時43分ですから、このころ最上部で発生した崩壊が宅地のあるところに達したと見られます。その後2時から3時にかけて、まさに一番雨が降っている時間帯に被災地一帯から相次いで被害の連絡や救助の要請があったと言われています。町長も副町長も不在という、危機管理上大きな問題がある状況である上に、夜に入るときにやや雨が弱まったことが関係者にとって警戒の緩みに繋がったのかもしれません。報道されている情報から町の対応の経過を見ると、市の職員も16日の1時半頃になってやっと出勤し、態勢を整えたのは2時頃だったということです。災害発生まで1時間を切っています。気象庁や都、警察などから警戒情報が入ったり、避難勧告発表の要請を受けたりしてはいましたが、防災無線で警戒を呼び掛けた(避難勧告ではなく)のは3時半を回っていたようです。言うまでもなくこの時点ではすでに深刻な被害が起きていたのです。
今回の対応を見ていると、(毎度のことながら)危機管理はどこで決断するかということがなかなか難しいのがわかります。特に雨が一旦弱まったりすると、このまま収まるんじゃないかと思ってしまう傾向はどうしても避けがたいでしょう。最も望ましかったのは、15日の夕方、暗くならないうちに地域全員で安全な元町中心部に避難しておくことだったことは明白です。そうすれば高齢者もずいぶん救われたと思います。避難は危険が迫ってからではなく、安全なうちに行う行動であるということを肝に銘じておく必要があります。
いまは携帯情報端末でこれから数時間の降水の見通しも配信されています。15日の夕刻の時点で、役場の関係者がどこまで情報を得ており、それをどう解釈していたのか、そのあたりの情報の公開を望みたいところです。