事故や災害には沢山の事例を集めると一定の傾向が見て取れるものが少なくありません。例えば交通事故の起きる時間帯とか、年齢別の事故率、火災の季節別の発生数などは、長年の統計をみるとかなりはっきりした特徴(クセ)があることがわかります。ところが時には場所によってかなり事情が違っている事故や災害もあり、全国とその地域とでずいぶん差のあるものもあります。
交通事故で最近特に注目されているのが自転車に関わる事故です。団塊の世代の大量退職もあって、自転車人口はかなり増えているのではないかと思います。実際私の地域でも様々な人がスポーツサイクルで走っているのを見かけます。江戸川のサイクリングロードでも何度かトラブルを起こしているのを見たことがありますが、これらは交通事故というよりも、準備不足で走った結果、足がつったりハンガーノックになったりしているケースが多く、まあ救急車で運ばれていたケースは1件程度でした。むしろ日常生活の中で起きる自転車が関わる事故のほうが問題で日本損害保険協会などはわざわざ事故防止を呼び掛ける資料をWEBで公開しているほどです。
警視庁の統計によれば、都内の自転車関連の事故は年間約2万件で、交通事故の36%(平成24年)を占めています。この傾向はここ数年ほぼ横ばいですが、交通事故に占める割合が全国平均では20%前後であることから見ると、都内はやはり自転車に絡んだ事故が多く発生していることが伺えます。これはなぜでしょうか。
事故当事者の年齢階級や、事故の個別の事情を詳しく分析した資料を見ていないので良くわかりませんが、都市部ではやはり「人口密度が高く」、「高齢者が多く」、「道路事情も良くない(狭い)」ので、人と自転車が接触する可能性が高いのではないかと推察されます。やはり地域固有の危険に関する要因はそれなりにあるのでしょう。
防災マップづくりで地域力を高める活動を推進している私たちのチームですが、防犯や交通事故など、自然災害以外の様々なリスクについて、地域住民の方々がどのように認識され、固有の対策を考えていられるのか、そのあたりも是非知りたいと思っています。
つぼつぼのprofile
国立研究開発法人 防災科学技術研究所
防災情報研究部門
所在地
茨城県つくば市天王台3-1