2020年のオリンピック開催都市が東京に決定しました。招致のために多くの方々が尽力されたと思いますが、まずは目標が達成できたことは素直に喜びお祝いしたいと思います。ただ一つ、多くの方が懸念していることは、この大都市東京が2020年までに厳しい災害に曝され、オリンピックどころではないというような状況にならないかという点です。もちろん政治情勢によってはテロの脅威や、そのほかの憂慮すべき事態も起きないとは言えませんが、まずは防災対策をこれからの7年、着実に進めなければならないでしょう。東京のメリットは1964年の前回のオリンピックで造られた沢山の施設がまだ活かせるということで、これらの資源を有効活用して、より安全で快適な大会に向けて努力していく必要があります。
2020東京オリンピックのための誘致資料がWEBで公開されています(こちら)。かなり沢山の記述があるので細かく資料を見ている方はあまりいないと思われますが、個人的には財政的な観点からどの程度の情報が開示されているかを、特に興味を持って見てみました。都知事の発言にあるように、45億ドルもの基金がすでに積まれているということが特に印象が残るように書かれています。最終プレゼンテーションでこの発言をした時の知事の表情は、「俺たちには金があるんだぞ!」という感じが強すぎて、ちょっと印象が悪かった気もしないでもないのですが、財政的な裏付けは極めて大切なのは事実でしょう。しかし、万が一大会開催前に大災害が起きてしまって、被災者の経済的支援が必要となった時には、ためらわずにこの基金も転用できるくらいの腹積もりでいてもらいたいものですね。人があってのオリンピックなのですから。
つぼつぼのprofile
国立研究開発法人 防災科学技術研究所
防災情報研究部門
所在地
茨城県つくば市天王台3-1