梅雨の末期ということで、各地で大雨が相次いでいます。先日発生した山口・島根両県での豪雨は、気象庁が8月末から実施する新しい警報基準における「特別警報」に相当する現象であったということです。タイムリーなことに7月31日に特別警報の発表基準が気象庁から公表されました(公開サイトはこちら)。大雨などの気象現象について言えば、概ね50年に一度発生するとみられる気象現象が予測された場合にはこれが発令されるようです。50年というとおよそ1世代が交代する間隔でもありますが、長寿社会になったとはいえ多世代での共同生活がされにくくなっている今日、災害の記憶も伝えられなくなっているということも背景にありそうです。もはや父母の時代に経験した災害を、孫の世代に知識として受け継いでいくことは、かなり難しいのでしょうか。
今回「特別」が冠せられた警報ができたとはいえ、これまでの「警報」に意味がなくなったわけではありません。警報に至らない注意報の段階から、私たちはリスクの存在を知って適切に行動することが求められます。とりわけ高齢者などの社会的弱者が増えていることを考えると、健常者のようにスムーズな避難ができない場合にそなえて、あらかじめ支援の輪を地域で拡げておくことが肝要です。気象庁からも「特別警報が発表されないからといって安心することは禁物です」というメッセージが出されています。注意報、警報、警戒情報など、事態の進捗に合わせてさまざまに出される情報について、常に敏感でいたいものです。
ところで最近はスマートフォンの普及によってこの種の情報が非常に身近なものになりました。先日も利根川・江戸川のサイクリングロードを走っていると、70歳を超えるロードランナーの方に会いましたが、きちんとスマートフォンで雨雲の動きを見て走られているようでした。雷や竜巻など、小さいスケールで起きる気象現象についてはまだまだ網の目から漏れることもあるとは思いますが、このような情報ツールを上手に活用して、自らの身を守る習慣を徹底したいものです。