7月23日の午後、水戸市の集落センター等連絡協議会の総会からの依頼で、防災の講演をさせていただきました。あらためて東日本大震災後、全国各地で災害対策への関心が高まっていることが感じられました。同じ県とはいえ、つくばにいますとなかなか県庁所在地の水戸市に行く機会が少ないので、茨城県庁などにも立ち寄り、県内各地域に関する情報を頂いてきました。以前と比べると行政情報はかなりのものがWEBで公開されるようになりましたが、まだ紙でしか得られない情報も数多くあります。印刷された資料は嵩張りますが、電子機器が無くても、また大勢で一緒に見るときにも便利なものです。
平成の大合併によって、茨城県も基礎自治体(市町村)の数がぐっと減りました。より正確に言えば町村が減り、市が増えたということです。茨城県にはまだ政令指定都市はありませんので、最大の水戸市でも人口は27万人余り、2位のつくば市が21万人を超えてきていますので、大分拮抗してきています。とはいえ、先般公開された国立社会保障人口問題研究所の市町村別将来推計人口では、2040年時点のつくば市の人口は23.6万人、水戸市が24.4万人と、まだ逆転はないという見込みになっています。公開されている統計指標などから、高齢化率、歳入歳出、財政力指数、行政職員数、公共設備の整備状況、主要施策など茨城県内の各市町村のさまざまなデータを調べてみると、いろいろ興味深いことがわかります。21世紀に私たちが迎え撃たねばならない大災害が迫っている今日、茨城県でも各地で何ができるのか、何をすべきなのか、早急に検討し実行すべきものが沢山ありそうです。
ところで、地域防災計画は各市町村でそれぞれ策定されることになっていますので、再編されたとはいえ、茨城県内にある43の市町村すべてで地域のリスクの同定から対策まで、大変沢山の行政資料が作成されています。しかしあらためて考えてみると、多くの市町村は災害の被害想定や災害対応をそれぞれ独自に行うよりは、隣接する基礎自治体同士、上手に連携することでずいぶん効率的になるのではないかと思うのはごく普通の事です。先日南流山で開催された「災害に強い地域づくりのためのワークショップ」でも、流山市に食い込んでいる柏市のエリアとの関係が住民から問題提起されました。ハザードマップも市境で見事に情報が切れているという現実は、地面が繋がっているのになぜこう杓子定規なのかと思わざるを得ません。
地震学や地震工学が発達してきている今日、被害想定を基礎自治体単位に別々に行う必要性もないというのは当然だと思います。むしろ地域に想定される災害を隣接自治体で共同して想定し、被害予測やリスク評価を行い、それぞれ何ができるかを一緒に考えたほうがずっと合理的です。少なくとも市町村界でハザードマップがぷっつりと切れてしまうなどという笑えない事態は避けられるはずです。