内閣府が行った「高齢者の健康に関する意識調査」の最新版が公開されています(WEBサイトはこちら)。この調査は過去3回(平成8年、14年、19年)の実績があり、今回が4回目となります。55歳以上の男女に対する直接面接調査なので、一般に行われる(用紙配布)自記入回収式のアンケートよりは、具体的で込み入ったことまで調査できていると思われます。標本数は3000でしたが、有効回答となったのは1900あまりで約64%の有効回収率となっています。
設問内容は、現在の健康状態、日常生活での生きがいや満足度、医療や延命治療に対する意識、健康管理や福祉、食生活に関する事項など多岐にわたりますが、認知症に対しては、自分が認知症になる可能性を感じるかどうかという設問に対して約6割の回答者が「いつも感じる」あるいは「時々感じる」、「希に感じる」と答えています。この傾向は年齢が上がるにつれ若干高まりますが、健康管理に対して期待する割合についても認知症が最も多く回答されていますので、やはり高齢者にとってさしあたっての課題は如何に認知症から回避できるか、その方策をいろいろ示して実践できるようにすることになるでしょうか。
その他、人生の最期をどこで迎えたいと思うかという設問に対しては自宅をあげる人が最も多く、また女性のほうが平均寿命が長いことを反映してか、また女性のほうが現実的な考え方をするというべきか、医療機関や福祉施設などを最期の場所に希望する人の割合に男女で差があるなど、なかなか興味深い結果が表れています。
防災の現場においても地域の高齢化は最も多く懸念され、議論されるテーマだけに、家族、地域、行政としてそれぞれどのような枠組みで高齢リスクを支えていくのか、選挙のこの時期こそ最重要論点として取り上げていただきたいものですね。
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国立研究開発法人 防災科学技術研究所
防災情報研究部門
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茨城県つくば市天王台3-1