参議院選挙が始まりました。ネット選挙と言われて騒がれていますが、名前とは裏腹に解禁されたのはネットを利用した選挙活動のことで、選挙の投票自体がネットで行えるというわけではありません。もしネットを使って投票が行われたら、休日にわざわざ投票所に行くこともなくなるでしょうし、いろいろな事情で実際に足を運べない人にとっては朗報になったかもしれません。原発で故郷を遠く離れている人たちにとっても、大きな意味を持つものだったかもしれません。WEBを使った投票活動によってどれだけ投票率が改善されるかは、それはそれで大変興味深いところです。
ところで高度情報化時代となった現代、私たちの防災の世界にもさまざまな新しい情報技術が導入されています。左の防災トマソンのコーナーで紹介した防災対応型の信号機などは、首都で大地震が発生した場合の交通制御を行う技術としてだいぶ目にするようになってきました。しかし一般市民の防災活動の現場は相変わらずローテクが支配的であります。ネットがあれば、PCがあれば、情報の共有化や人の繋がりが増え、さまざまな垣根がなくなるかというと決してそうではありません。何か新しい技術が導入されて、それによって長い歴史を持つものがすぐに淘汰されるというわけでもありません。日本社会は急速な変化に素早く対応するところと、なかなか変わりにくいところとが共存し、まだらになっているとても不思議な感じの国です。
ネット選挙(活動)解禁となったのだから、せめてあの騒々しい選挙カーがなくなるとか、どう見ても町の美観を損ねているとしか思えない選挙ポスターがなくなれば、「ああ、変わったんだなぁ」と私たちもテクノロジーの恩恵を感じるかもしれませんね。