東日本大震災は災害の規模があまりに大きかったので、その影響もまた多岐に、かつ長期に及ぶものと考えられます。1年目と2年目とで被災者にどのような変化があったのか、NHKが被災者1000人に対して行った調査が公開されています。(資料はこちら)
これによれば、時間が経って改善された健康指標もあれば、却って悪化している指標もあります。それも世代によって変化も異なっており、たとえば不眠の傾向は若い世代(30代以下、40歳から64歳まで)は1年目より2年目のほうが改善されていますが、高齢者においては多くの健康指標が悪化しているのが目につきます。「気分が沈みがちになる」は75歳以上で27.4%(1年目)→36.8%(2年目)と増加していますし、「薬が必要になった」も65歳から74歳で17.1%(1年目)→30.7%(2年目)となっています。このような背景にやはり被災後の生活での活動量の変化があると思われます。震災前と現在(2年後)とで外出の頻度を問うた設問では、震災前は「ほぼ毎日外出した」と回答した人が52.3%であったにもかかわらず、現在は39.8%に低下しています。災害は命やものを奪うだけではなく、生活のパターンを変えざるを得なくすることで、私たちの健康にもさまざまな影響を及ぼしていることがわかります。
被災者の方々の心の支えとなっている人や事柄については、家族や親せきが77%、知人友人が35.4%となっており、身近な人とのつながりや関わりがかけがえのないものであることがわかります。家族との関係も震災から時間が経つにつれ大切に思う気持ちが強まったと回答している割合が増えています。被災後の心の支えについて「お金」と答えている人が6.1%と必ずしも高くないのは、少しホッとするような気もします。