東京メトロ東西線葛西駅には「地下鉄博物館」があります。入場料210円という安さで、日本の地下鉄の創設期から今日までの歩みが沢山の実物展示でわかりやすく学ぶことができます。地下鉄は日本の主要大都市にはおおむね設置されていますが、地下という空間制約の少ない特徴を活かして都市交通の中では重要な役割を占めています。ただし高齢化などの社会変化に対応するためには、エレベーターの設置やホームへのアクセスにおけるバリアフリー化など、まだまだ改善しなければいけない課題が残されているのも事実です。
ところで東日本大震災での地下鉄の被害はどうだったのでしょうか。国土交通省や仙台市交通局が公表している資料によれば、地震発生時には10本の列車が運行中だったと事ですが、脱線などは1本もなく、全て自動停止したとのことです。駅間で停車した車両からの避難も順調に進み、1時間後には全乗客が駅舎外に出られたということです。もちろんけが人も一人も出ずに済みました。ただし施設としての地下鉄は地上部分の橋脚などを中心に相当の被害があり、その復旧にはだいぶ時間がかかったことが報告されています。地上と比べて地下のほうが地震動が小さいことはよく知られていますが、地震以外にも水害や火災、停電などのさまざまなリスクに対してどのような安全対策がとられているかも、この地下鉄博物館で学べます。
博物館の展示の中には古の地下鉄車両もあり、そこにはなかなか面白い注意書きが書かれたものがありました。今も昔もモラルは大事ですね。