5月24日に政府の地震調査研究推進本部は南海トラフの地震活動に関する長期評価の第2版を公表しました(サイトはこちら)。静岡県の駿河湾から宮崎県沖の日向灘に至る広大なトラフのどこにどれほどの地震がいつ発生するかはまだ確定的な見解はないものの、今回の改訂版の特徴としては発生する地震の多様性を考慮し、さまざまなケースを組み合わせて検討しているということでしょうか。マグニチュード8を超える地震の発生確率は30年以内で60%から70%と非常に高い数字が出されています。21世紀前半で日本が被るであろう大規模地震としてまさに目前の敵がそこにあるという状況でしょう。しかしこの確率が出されても自然現象ゆえになかなか対策に結びつかないことが悩ましいところです。
折しも米国の有名女優が遺伝子検査によって乳がんのリスクが高いと診断されたために、予防切除を行ったというニュースが話題になりました。報道によれば彼女の乳がん発症率は放置すれば87%もの高率であったということですが、切除手術によってこれが5%に減少したということです。手術に関しての賛否はいろいろな意見があるでしょうが、この確率の変化はまさに激減で(乳がんだけではなくこれが他の部位におけるがんの発生の危険性をも低減させることを考えると)、これによって彼女自身もまた彼女の家族も、ずいぶん精神的負担が減ることでしょう。
残念ながら地震の発生確率に関しては、これから人類が行う何かによって「低減」することはありませんが、地震によって被害を受ける確率は個々人や地域、そして行政などの努力によってまだまだ下げることができます。地震が起きても被害をどこまで減らせるか、こちらも確率で表示しておきたいものですね。