日本の人口が減少局面になっていることはしばしば報道されていますが、私たちがこれをなかなか実感できないのは、人口減少が緩やかに進むので、具体的に明日がどう変化するかというのが体感的にはわかりづらいからでしょう。国立社会保障・人口問題研究所がホームページで日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)の最新版を公表しました。公表されたデータでは全国の約1800の市区町村別の人口について年齢階級別に西暦2040年までどう推移していくかが推計されています。(福島県は市町村別推計が難しいので県単位です。)私たちはこのような資料を自分の眼で見て地域のちょっと先のイメージを共有して考えなければなりません。2040年となると現在から27年先ですので、人口変化もかなり目に見えてくるはずです。是非自分の地域が将来どう変化すると予測されているか、確認していただきたいと思います。
例えば茨城県ですが、私の研究所のあるつくば市は2035年までは人口が増加し、2040年では若干の減少局面に入ると推計されています。TXを中心に市街地開発が進み宅地もどんどん造成されているつくば市では、今後2万人程度の人口増加が見込まれています。一方で隣接する土浦市では2010年の人口が14万4千人弱なのに対して2040年には11万8千人弱と8割程度になってしまいます。土浦市の人口減少は継続的に進んでおり、今後一度も増加する局面はないようです。全国的に見ればつくば市のような人口が増加するところはむしろ少なく、約7割の自治体では2040年には2010年人口の2割以上が減少すると推計されています。
年齢階級別にみると2010年度では65歳以上の人口割合が40%を超える自治体(超高齢化自治体とでもいいましょうか)は87でしたが、2040年には836に増加すると見込まれています。これは自治体総数の約半分に当たりますので、超高齢化自治体というのも珍しくなくなってしまうでしょう。
地震や津波、火山や竜巻など、自然現象の強烈さばかりに目が行きがちですが、災害はその受け手となる社会の脆弱性でほぼ決定づけられてしまうともいえるわけですので、地域の人的脆弱性についてもよく知って、きちんと手を打っておかねばなりません。