平成24年度も残すところあと半月となりました。4月からの新年度で私たちの社会にはいろいろな変化が出てきます。その一つに障がい者の法定雇用率が引き上げられることがあります。民間企業は現行の1.8%から2.0%へ、国・地方公共団体は現行2.1%から2.3%へ、都道府県等の教育委員会は現行2.0%から2.2%へ引き上げられます。また法定雇用率が適用される事業主の範囲が現行の従業員56人以上から50人以上に引き下げられます。事業主には毎年6月1日に雇用状況についてはハローワークに報告する義務が課されています。
以前に新潟県中越沖地震の被災地調査の際に、障がい者の災害時の避難に関する課題を調べましたが、社会に対する関わり方がどうしても制限されがちな障がい者にとっては、災害時の受け皿や支援もまた限定されているという現実があります。震災時にある障がい者の方々は卒業した学校に避難しましたが、そこは避難所に指定されていませんでしたし、普段は自宅で生活している割合の高い障がい者は、いざという時に避難する場所すら地域にはないというのが私たちの社会です。そう考えると、やはり社会において弱いところから優先的に補強していくという視点をもっと実践していく必要があると思います。私たちは日常の中で何気ないふれあいを積み重ねています。意図的に助け合わなくても、ちょっと道を譲るとか、混雑している電車で席を譲るなどの行為は、社会生活の中で生じるわずかな摩擦を経験する中で関係性が育まれるわけですので、まずは社会的な参加機会をもっとできるようにすることはとても大切です。
ところで実態としての法定雇用率はどうでしょうか。厚生労働省がまとめた平成24年の民間企業の実雇用率は1.69%でした。実雇用率の目標は1.8%ですので、かなり目標に近づいているように見えますが、一方で法定雇用率を達成している企業の割合は46.8%という数字も出ています。実は企業の規模が小さいほど目標を達成できていない状況にあり、1000人以上の規模では1.9%であるにもかかわらず、500から1000人規模では1.7%、300から500人規模では1.63%、100から300人規模では1.44%、56から~100人規模では1.39%となっています。中小企業では雇用したいと思っていてもなかなかできないのも事実です。
いま福島県を中心に被災地では、多くの障がい者が避難を余儀なくされています。その方々が避難先でも就業できるように、もっと多様な支援を工夫することが求められています。