太陽の高度も上がり、漸く春の気配が感じられるようになりましたが、こういう季節の変わり目に限って予想を大きく上回る気象現象が起きることがよくあります。2日から3日にかけて北海道を襲った暴風雪は各地で猛威を振るい、道東を中心に8名の方が亡くなられたと報じられました。今回の犠牲者のうち7名の方々については車が何らかの形でかかわっているのが特徴です。中標津市の道道に停めた車の中で死亡しているのが発見された母子4人は一酸化炭素中毒でした。雪が排気管を塞いだために排気ガスが車内に充満したとみられています。同じ中標津で死亡した若い女性や富良野市の男性、湧別町の男性も、いずれも雪で立ち往生した車から避難しようとする過程で遭難したとみられているようです。
車は現代社会に生活するうえで必需品なって久しいですが、とりわけ都市部よりも中山間地にあっては生活すべてを支える足そのものでもありますので、何よりも安全に運航できなければなりません。しかし最近は郊外でのガソリンスタンドの相次ぐ閉鎖や、豪雪地帯の雪かきの困難さなどもあって、大雪の中で動くに動けなくなっている人たちもたくさんいると思われます。さらに最近では車も大型化してきて、社内にあらゆる生活用品を詰め込んで走らせている方もいるようです。しかし車は常に安全な器というわけではありません。津波の避難の時にも渋滞を引き起こす原因の一つでしたし、都市部では地震火災の際の延焼要因になる懸念も持たれています。尤も現在のような高齢社会で体力のない方々を無事に避難させるためには、車を使わざるを得ないのも事実ですので、まずは安全なうちに避難する(危険な状態になってからの避難は絶対に避ける)ことが第一でしょう。
今回犠牲になられた方々がそれぞれどのような経緯で遭難する状況になったのか、個別事情について可能な限り調査して、同じような悲劇を繰り返さないようにすることが必要だと思います。