気象庁では本年3月7日より津波警報を改善すると発表しました。(気象庁の津波警報の改善に関するページはこちら)。今回の改善のポイントの一つに、地震が巨大なために津波の高さが精度よく求められなかった事態に備えて、地域で想定される最大級の高さに基づいて警報が出されるという点があります。万全の観測態勢が構築できたとしても、現実に起こる現象の予測にはかなりの不確実性が伴うという認識は、安全サイドの判定をもって対処していくという点で、現時点ではやむを得ない措置だと思います。一方「巨大」という表現は、高さを認識するうえで妥当なものかどうかよくわかりません。「10メートルを超える」というような数字の表現が付随していれば、より現実味をもって受け止められるとは思いますが。
東日本大震災から間もなく2年が過ぎますが、震災をきっかけに災害に対する意識や向き合い方の問題についても目に見える形の変化が必要という認識が高まり、今回の改善措置に至ったと思料されます。高い津波を伴う地震では、最初の観測波高が最大であるとは限らないという観点から、観測された数字をそのまま発表せずに「観測中」とする措置についても、津波災害時の避難継続の重要性を認識するうえでは現時点ではやむを得ないものと思います。次の災害ではこの警報改善が奏功し、被害が最小に抑えられ、出来れば東日本大震災のような悲劇にならないことを祈りたいと思います。
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国立研究開発法人 防災科学技術研究所
防災情報研究部門
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茨城県つくば市天王台3-1