災害に備えていろいろな施設が整備されていますが、それらの所在を示す看板や標識の設置も増えてきています。最近では景観に配慮して、ちょっと目立ちにくい(時にはわかりにくい)ようにしてあるものもあります。スマートになったといえば確かにそうなのですが、いざという時に役に立たないというのでは困ります。景観にも気を配りながらも有事にも効果的なデザインにするのが、デザイナーの腕の見せ所といったところでしょうか。
ところで我が家の近くにも避難所や広域避難場所をでかでかと地図に表示した看板があります。かなりカラフルで、見ようによってはちょっと景観を損ねているという気がしないでもないのですが、一番気になるのはその看板の設置してある「向き」です。実際の方位とはまったく一致していないうえに、看板が立ててある場所から見て、目標物になるものがほとんど分からない(見えない)ようなところに設置してあります。
おそらく「地図は北が上」という原則や、「きちんと住居表示をすることが第一」と考えて作られたのではないかと拝察しますが、実際に現場で立てて「どう見えるか」については余り気を使わなかったのだろうなと思わざるを得ない設置状況で首をかしげてしまいました。咄嗟の時でも判断に迷わないようにするデザインというのは、なかなか難しく、やはり専門家が現場で一つ一つチェックする必要があるのかもしれません。この手間を惜しむばかりに役に立たない形だけの表示をしていても仕方がない気がします。
下の写真は地下鉄の非常ボタンの設置例です。つい先日(1月26日)はJR新大久保駅で線路に転落した人を助けようとして、韓国人留学生と日本人カメラマンが電車にはねられた「救助死」が起きた日です。あれから12年が経ちますが、この事故を契機にホームに設置されたこのボタンがどこにあるか、一見してわかるようにもう少し周知徹底したほうがいいのではないかと思ったりします。
「みだりに扱うと罰せられる」と書かれています・・・・