学校を軸にした地域防災活動もつくば市や茨城県内のさまざまな学校で取り組みを支援させていただいていると、いろいろ考えさせられることが多くなりました。その一つが活動の継続性の問題です。学校は私達が災害リスクのコミュニケーション手法として開発してきた防災マップや災害シナリオを作成するには便利で効果的な単位ではありますが、学校そのものがいわば人生の「通過を前提とした機能」ですので、子どもたちも在校期間が終われば上の学校に行ってしまいますし、教職員も人事異動で数年単位で変わってしまいます。地域住民はそれと比べれば流動性は低いですが、自治会の役員などでは毎年交代となっているところもあり地域防災の活動経験やノウハウがなかなか根付かないという問題があります。
今日はつくば市南部の茎崎地区にある小学校2校と中学校の合同で災害シナリオの検討会を行いました。市で進めている小中一貫教育の関係で、この3校は連続的な教育体制に移行しつつあります。議論をしていると、小学校と中学校では地域とのかかわり方がかなり違うことが明確になってきました。小学校では子ども会、防犯自警団、児童委員などさまざまな組織活動が子供の安全に関わっています。集団登下校も中学ではなくなってしまいますし、地域とのかかわりは徐々に薄まっていくようです。おりしも文部科学省と国土交通省、警察は全国の公立小学校と特別支援学校の通学路を総点検した結果、約7万5千か所で安全対策が必要なところがあると発表しました。今後速やかに改善がはかられるようですが、このような安全点検と改善措置がこれからも継続的に進められていくことが望まれます。
そのような意味では防災対策や安全活動は息長く続くための工夫がいま一番求められている要素だともいえそうです。古い学校には伝統行事というものがありますが、防災についても伝統行事に位置付けられるようなよいアイデアはないでしょうか。過去の被災経験を次世代につなぐために、東北地方の被災地でもいろいろな取り組みが進められていますが、それらが永続性のあるものとなり、今回の津波被害を直接目にしていない世代になっても、再びの災害に備えて適切な動きができるような普段の学校活動を考え出してゆかねばなりません。
茎崎第三小学校でシナリオWSを行いました。話してみるともやもやしていた地域の課題がいろいろ見えてきました。