震災からおよそ1年9か月ほど経過した本年12月になって東北地方でまた大きな地震があり、首都圏でもかなりの揺れとなったので、大きな話題になりました。津波も発生しましたが、幸いにも深刻な被害が無かったようです、その点ではほっとした方も多かったのではないかと思います。3月11日の地震との関連など、地震学的な問題は専門家の判断に任せるとして、より大きな地震がいつ起きるかは全く予期できない中で、私たちは次の災害に備えなければならないことを痛感させられました。
今回も災害発生と同時に大量の情報がネットで溢れました。その一部には悪意のデマ情報もあり、生き埋めになっているから助けてくれという東北地方の住民を装ったものまであったようです。今や災害に限らず、ツイッターやフェースブックによって、たちどころに情報が交換されます。この大量の情報はうまく生かせば災害のような事態の被害を軽減する方向に働くでしょうが、誤って使えば被害を拡大させてしまうかもしれません。先の悪意のデマ情報を排除するのは大きな問題です。
東日本大震災の時にネット等に流通した大量の情報を情報学でいうところの構造化されていない大量の情報ととらえ、「ビッグデータ」と呼び、これを用いて何がわかるか、これらを何とか社会に活かせないかという研究が始まっています。「東日本大震災ビッグデータワークショップ-Project311」では、以下のようなデータが関係企業から提供され、研究者が自由にアクセスして、その中身の分析を行いました。
■3月11日から1週間の朝日新聞記事(提供:株式会社朝日新聞社)
■Google Trends (提供:グーグル株式会社)
■東日本大震災直後のテレビ放送テキスト要約データ (提供:JCC株式会社)
■3月11日から1週間のツイート (提供: Twitter Japan 株式会社)
■NHK総合テレビ大震災発災直後から24時間の放送音声書き起こし及び頻出ワードランキング (提供:日本放送協会)
■Honda インターナビ通行実績マップデータ(提供:本田技研工業株式会社)
■レスキューナウの鉄道運行情報/緊急情報/被害状況のまとめ情報(提供:株式会社レスキューナウ)
■混雑統計データ(提供:株式会社ゼンリンデータコム)
私も参加している国立情報学研究所(NII)のプロジェクトでもこのデータ解析に関わっている研究者の方がいて、その成果を研究会で報告されています。さる10月28日に、このビッグデータ解析に関わった研究者が一堂に会して発表会が行われました。まだまだ分析が不十分なものも多いですが、災害時の情報の流れを考えるうえで非常に触発される内容が盛りだくさんです。発表会の様子はビデオやパワーポイントの資料で誰でも見ることができます。(公開時期がもしかすると短いかもしれませんので、アクセスはお早めに)