平田オリザ氏は劇作家、演出家であると同時に、大阪大学コミュニケーションセンターの教授で、演劇を通じた「言葉によるコミュニケーション」を軸にしたワークショップ手法の提唱者です。私達も災害を「ドラマ」という形で捉えることで、地域の多様な関係者を災害リスクのコミュニケーションに巻き込むことを提案してきました。「物語」により状況を認識し、共通理解を進めることは災害時だけではなく、異文化コミュニケーションにおいても重要なものと言われています。その意味では、いま平田オリザ氏のワークショップに最も参加してコミュニケーションしてほしいのは日本、中国、韓国の指導者の方々ではないかと思ったりするのですが、いかがでしょうか。
さて、この平田オリザ氏が今回「わかりあえないことから-コミュニケーション能力とは何か(講談社現代新書)」を出しました。この本には氏が実践してきたコミュニケーションデザインのさまざまな手法や体験から得られたエッセンスが濃縮されています。防災のみならず、地域でさまざまな取り組みを行っている市民の方々、特に指導的な立場になっている方には特に読んでいただきたい、お勧めの一冊となっています。