11月27日の暴風雪で送電線が被害を受け、北海道の道南地方を中心に広域で停電が発生して、多くの方々が避難所を利用したり自宅で不自由な生活を送っています。電気が日常生活で最も重要なライフラインとなった現代では、暖房から通信まで、電気がない生活は殆ど考えられない状況にあります。暴風雪は最近の暖冬傾向の中では忘れられがちな災害ですが、時折非常に大きな風速や大量の雪をもたらして私たちの生活を混乱させます。今回は室蘭で観測史上最大となる39.7メートルの瞬間風速が記録されたということで、過去最大という形容詞がいつ更新されるかは誰にもわからないことをあらためて思い知らされた形となりました。
日本では豪雪地帯という地域区分があり「豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年4月5日法律第73号)」によって北海道から東北、本州の日本海側の地域が指定されています。そこでは豪雪地帯対策基本計画が策定され、交通や通信、農林業、教育、医療などに関して機能の維持対策が実施されています。それでも毎年雪に伴う事故で人が亡くなるのが現実です。その背景として豪雪地帯と高齢化地帯、人口減少地域とがオーバーラップしていることがあります。東京、名古屋、大阪、福岡などの大都市はみなこの豪雪地帯ではありません。日本の人口の多くが、非豪雪地帯に集中しているのです。
したがって雪による災害の現場では、たとえば高齢者が雪下ろしをしていてその作業中に落ちてきた雪に埋もれてなくなるなどのケースが相次いでいます。平成18年豪雪では一冬で150名以上の死者を出しましたが、そのかなりの方々が高齢者で除雪作業に関わって亡くなられています。人口減少による過疎が進む地域では、雪に埋もれてもすぐに発見されずに亡くなられる事故も相次いでいます。一方で携帯端末の普及により、事故に遭ってもすぐに連絡が取られて助かっているケースもあります。このような緊急時の対応のためにも停電ができるだけ発生しないよう、さまざまな工夫と技術開発が必要です。
停電が長引くと通信機能の途絶による被害の拡大が懸念されますが、併せて電気に頼って生活している高齢者や医療用器具などを常時必要とする障がいのある方などが深刻な被害に陥らないよう、地域のあらゆる関係者が協力することが望まれます。