厚生労働省は11月27日の報道発表でノロウイルスによる感染性胃腸炎の発生状況が過去10年間で最も多かった平成18年についで2番目に高い水準で推移しているので警戒が必要との情報を出しました。ノロウィルスは秋から冬にかけて発生する感染性胃腸炎の集団発生主原因と言われています。食品を取り扱う飲食店などの現場はもちろん、家庭でも手洗いなどを徹底し、吐しゃ物などの処理には適切な配慮が必要です。厚生労働省ではわかりやすい解説などをホームページで公開しています。
さて感染症と言えば、災害時の被災者にとってはきわめて重要なリスクでもあります。これまでの災害でも災害そのものではなく、その後の避難生活で感染症に罹ったり、ストレスで体調を崩されて亡くなられる方も結構な数に上ります。しかしいわゆる疾病でなくなった方々に対して、どこまで震災が影響したかについては、持病などの影響もあって明確にわからないため、把握が難しいのが現状です。おそらく現在も避難生活を続けていらっしゃる被災者の方々の健康にどのような影響があったかがわかるのには、今後長く疫学的な調査をしていく必要があるでしょう。
災害時にどのような感染症が問題となるかについては、日本感染症学会がそのホームページで感染症を「災害時に危険が増加する感染症」と「避難生活時に問題となる感染症」にわけて、それぞれ感染形態で分類した解説を載せています。ノロウイルスのみならず、ロタウイルス、細菌性の食中毒から外傷性の感染性疾患、誤嚥性の肺炎等、被災者は災害に伴ってさまざまなリスクにさらされます。日本は世界一衛生的な国の一つですが、それだけに平時における衛生環境の高さが災害時に仇とならないよう、きめの細かい工夫や対処が必要でしょうね。
新潟県中越沖地震の避難所となった小学校の流し場