千葉県浦安市は東京に隣接し、かつ東京ディズニーリゾートという日本屈指のテーマパークがあることから、全国的に名が知られています(場所から言えば東京ディズニーランドではなく浦安ディズニーランドなんですが・・・)。交通の利便性の良さと整備された都市環境で居住地としても人気が集まり、1990年には約11万5千人だった人口が2010年には16万5千人と、5万人も増加しました。このような中、昨年3月の東日本大震災で市街地に深刻な液状化が発生し、現在その復旧に苦労しています。昨年は初めて人口が減少し、震災被害が影響したと言われています。
市のHPには道路などのライフラインの復旧スケジュールがまとまるたびに公表されていますが、完了するのが平成27年度まで伸びていたりするのを見ると、まだ先が長いなと同情を禁じえません。地盤の被害の深刻さと、抜本的な対策の難しさを改めて感じてしまいます。
浦安市は「液状化対策技術検討調査委員会」を昨年7月に設置し、専門家を中心に市の再液状化を防ぐための技術的検討を進めてきました。この委員会の開催経緯と、審議で用いられた資料は市のホームページできちんと公開されていますので、他地域でも液状化に関心ある方は是非お目通しいただけるといいと思います。
報道によれば、7日に開催された「液状化対策実現可能性技術検討委員会」では、住宅1軒当たりの再液状化防止に関わる費用は500万円から2,500万円もかかるとのこと。一生の買い物のはずであった住宅本体の価格以上に費用が掛かるとなると、自己負担だけではちょっと負担が重すぎます。デベロッパーには土地を整備する段階で、一定以上の液状化対策を義務付けるなどをして、住宅地として不適格なところをこれ以上増やさないようにする工夫が必要でしょう。この種のリスク情報がそもそもちゃんと公開されていないということが日本社会の大きな問題だと私は思います。
以前にロサンゼルス市の地震調査に行った折に、同市の比較的高級と言われる住宅街で多数地震の被害が出ていることがありました。そこは丘の上や斜面で眺めがよく、自然環境的にも優れているのですが、こと地震に関して言えば、不適格な土地だったわけです。土地などいくらでもあるカリフォルニアでもそういう具合ですから、平地の少ない日本では土地をうまく選ぶには、もう少し合理的な土地利用規制や情報開示を考える必要があると思います。
つぼつぼのprofile
国立研究開発法人 防災科学技術研究所
防災情報研究部門
所在地
茨城県つくば市天王台3-1