大飯原発の直下にある断層(らしきもの?)が今後も活動する可能性があるかどうか、すなわち活断層なのかそうでないのか、専門家による調査が行われています。まもなく再検討の結果が公表され、場合によっては現在稼働中の原発を停めることになるかもしれません。活断層をいつ活動するかわからない時限爆弾のようなものに譬える人がいます。そこに爆弾はあっても、明日爆発するのか、千年先に爆発するのか、今の科学技術では予測できないゆえに、原子力発電所のような一度事故を起こすと甚大な影響をもたらすものを、その直上には構築しないという原則が適用されています。これは危険を回避する方法としては最も合理的なものと思います。
危険が時限爆弾型という意味では、アスベスト(石綿)もこれに似ています。先日直木賞作家の藤本義一さんがお亡くなりになりましたが、原因は中皮腫だとのこと。中皮腫はアスベストが主原因と言われており、関西出身の著名人だけに、阪神淡路大震災の影響や、高度経済成長期にさまざまな建築現場や施設に使われていたアスベストに曝露(さらされた)された可能性が疑われます。厚生労働省では今年の4月に中皮腫でなくなられた方のご遺族に対して、特別遺族給付金制度があることの周知徹底を働きかけていますが、まだ申請数が少ないようです。潜伏期間が数十年と長いために、専門家によればアスベスト災害が本格化し、多数の中皮腫患者、肺がん患者が出てくるのはこれからだということですので、私たちも無関心ではいられません。
「いまは顕在化していないけれども、将来は顕在化する恐れの高いリスク」にどう備えるか、は人類共通の大きな検討課題であるともいえるでしょう。
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