今年も余すところ2か月を切り、またあのインフルエンザの季節がやってきました。厚生労働省によれば、10月の第4週でのインフルエンザの報告は全国で300件余り、まだ爆発的に感染が広がっているわけではありませんが、例年12月あたりから報告件数が伸びますので、早めに予防接種を受けておくことが奨励されています。
インフルエンザと言えば2009年に新型インフルエンザの世界的流行(パンデミック)があったのを覚えている方は多いと思います。メキシコや米国で患者が多数発生し、若年層に感染が多かったことから、かつて流行があった型のウイルス(高齢感染者が少なく、免疫があったのではないかと言われている)と考えられているようです。このような新型のインフルエンザは繰り返し発生しますが、季節性のインフルエンザと異なり、いつどこで出現するかの予測ができないため、世界的な監視活動を緩めることはできません。
感染症ですので、人が多く集まる場所での感染が懸念されます。基本的にはそのような場所に行かないことが望ましいのですが、毎日の通勤や通学でで満員電車に乗る方にはそれも難しいので、乾燥するこれからの季節にはマスクの装着や、手洗い、うがいなどを心がけたいものです。感染して一番気になるのは重篤化しやすい抵抗力のない高齢者や、幼児・児童への流行です。その意味では学校での予防対策はとても大切です。厚生労働省ではホームページで、インフルエンザのQ&Aを公開して、基本的な予防対策を啓発していますので、ぜひ利用したいものです。
東日本大震災は3月11日に発生したため、東北地方はとても寒い季節でしたが、その後数か月をかけて春、夏と季節が進み、被災直後はインフルエンザの大流行から逃れられました。もし震災が冬に向かう時期に発生し、その後厳しい季節を迎えていたら、一層大変な被害状況になったかもしれません。感染が疑われたら、すぐに医療機関を受信しましょう。国民誰でもが最低限の医療を等しく受けられる権利が保障されていることが、日本国民にとっての最大の安全保障でもあるのですから。
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