米国東部沿岸がハリケーン・サンディによって大きなダメージを被っています。大規模停電などインフラの被害は徐々に回復しているようですが、あまり災害の経験が豊富ではないところでは、かなり前から警鐘が鳴らされていてもこれだけの甚大な被害になるという点で、我々も他人事として見ているわけには行きません。日本でも首都圏を中心に東日本が強い台風に襲われる可能性がないわけではありません。台風は九州、四国、中国、近畿など西日本地域の専売特許というわけではありません。
今回のハリケーンの被害額が推定では200億ドルとも500億ドルともいわれています。500億ドルというと日本円で4兆円にものぼり、1災害としてはとんでもなく大きな額です。ここで言われている被害額がどこまで含まれているのかわからないので単純には比較できませんが、日本では1991年の19号台風での損害保険金が史上最高額で5700億円弱ですから、その大きさが知れようというものです。91年の19号台風では62名の死者が出ています。
もう一つ注目したいのは、台風に伴って密集地で火災が発生したことです。いずれ専門家による調査や分析が出てくると思いますが、強風下に火災が発生することで、消火活動が著しく妨げられたと思われます。日本でも特に建築物が稠密な都市部では同じような危険が考えられます。先に国土交通省が地震火災の危険地区を公表しましたが、広域延焼火災の発生が地震時だけと思い込むと大変危険だといえるでしょう。
広域火災は個人の防災対策だけではいかんともしがたいものがあります。地域で協力しながら被害を最小限に抑えていくための取り組みを、息長く支援していくことが必要です。
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防災情報研究部門
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