昨年8月に改正された障がい者基本法にも関係して、各地で障がい者に対する災害時支援に関する議論や取り組みが盛んになってきました。障がいのために災害時の対処や避難が困難な時には、誰もが救いの手を差し伸べることが大切ですが、現実にはなかなか難しい問題が横たわっています。前に「教育現場と防災」のタイトルで書きましたが、特別支援学校も地域社会とはなかなか繋がっていないという現実があります。福祉社会のあり方が地域によって差がある現状は、21世紀の日本社会に大きな課題を突き付けています。
以前,、ここで紹介した特別支援学校の防災対応資料「防災セルフチェック」を作成した千葉県では、障がい者差別に該当すると思われる事例」を公募し、ここに寄せられた約800件の事例を公表しています。紹介されている事例はいずれも私たちの日常で、ごく身近に起きている出来事が多く、我々誰もがその当事者になりうるものです。一人でも多くの方々にここに紹介されている事例を見ていただき、考えていただきたいと思います。
また障がいのある方々を私達はつい「助けるべき対象者」だと思い込みがちです。もちろん障がいのために周囲の支援が必要な方もいっぱいいますが、同時に彼らから私たちが支援を受けることも沢山あると思われます。特別支援学校や各種福祉施設を利用して、一時的な避難所や耐震性の高い備蓄基地にしたり、地域の防災拠点にする事は非常に現実的な課題です。障がいのある方々個別の特性を活かして社会防災に参加していただく、前向きな取り組みを私たちのプロジェクトでも支援していきたいと考えています。
つぼつぼのprofile
国立研究開発法人 防災科学技術研究所
防災情報研究部門
所在地
茨城県つくば市天王台3-1