運転免許証の更新手続きに行ってきました。免許センターでの講義を聴くのは久しぶりですが、今回は軽微(実に!)な違反があったので、たっぷり2時間の講義とビデオを見てきました(悲)。ところで、あらためて交通講習を見てみると、防災の講習と共通することがいっぱいあることに気が付きました。テキストですが実に沢山の見取り図、グラフや表が載っています。交通事故の実態がどうなっているのかをわかりやすくするためのもので、大変カラフルですが、興味深いのは各資料についているキャプションで、単に事実を要約しているのではなく、事故防止のためにわざと誇張して書いていたり、安全の錯誤に陥らないような表現を意識して選択しているように思えることです。
例えば「無事故・無違反の優良ドライバーによる事故が意外に多い」という記述があります。グラフも添えられていて、それでは人身事故の31%、死亡事故の28%が優良運転者によるものとなっています。割合だけを見れば非優良運転者による事故は人身事故の57%、死亡事故でも57%を占めているので、やっぱり優良運転者による事故は非優良運転者よりも少ないのですが、これは優良運転者だから事故は少ないという慢心が生じて事故を起こすことがないようという、配慮があるのでしょう。実際優良運転者となっている人の中には、免許証は持っているけれど実際の運転はしないという人もかなりいて、事故そのものに対する遭遇危険性は当然低くなっているはずです。
しかしこういう表現は防災でも共通するところはあります。例えば地盤の良否で地震の震度はかなり変わりますし、土地の標高や地形の違いで水害が起きやすいところとそうでもないところは明らかにありますが、いたずらに安全と認識されることから、どこでもそれなりの災害が起きると想定して対策をしておけと言っているのとよく似ています。私たちは普段の生活範囲がかなり広がっていますので、いつどこでも災害に備えられるような覚悟だけは必要ではあるでしょう。