社会にはいろいろな危険があり、それらについて私たちは主に文字や音声などの「情報」でコミュニケーションしています。でも、なかなかリスクの性質や程度は伝わりにくいものです。東日本大震災が引き起こした原子力発電所からの放射能汚染についても、世界唯一の被爆国でありながら、私達はこれまでろくなコミュニケーションをしていなかったことに気づかされました。どんなリスクも顕在化するまではなかなかわかりにくいですし、だからいろいろな表現を駆使して、その実態を伝える努力をし続けないと、また同じことを繰り返してしまいます。
鉄道や飛行機も、かつては大変危険な乗り物でした。事故はしょっちゅう起きていましたし不幸にも損なわれた生命はいまよりずっと多く、これを低下させるために沢山の技術開発がなされてきました。それでもなお、世界のどこかで毎年事故は発生しているのが現実です。
ところでリスクがあるということをきちんと伝えるというのは、なかなか容易ではありません。下の写真は都営バスの窓に貼られたメッセージですが日本語というのは実に便利で、まるで「みなまで言うな」「これ以上言うのは野暮ってもんだ」と言っているような気がしますね。