南海トラフの巨大地震による被害想定の値が内閣府から公開されました。昨年の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)を受けて、想定内容を見直した結果が反映されています。公開に際しては解釈や活用についてきちんと注意喚起がなされていますので、単に結果だけを問題にするのではなく、どのような前提で想定が行われているのかや、どうすれば被害予測値が軽減できるのかについても、思いを巡らせていただくことが大事だと思います。
ところで、今回の想定結果で気づくことの一つに、市町村別の波高や被害予測値が、新しい行政単位にまとめられていることです。そんなことは当たり前だと言ってしまえばそれまでですが、いわゆる「平成の大合併」によって市町村の数がぐっと減ったので、それまで町村だったところが隣接市に吸収(合併)されていると、見慣れた地名が無くなっていたりして、あれっ!と思ったりします。私たちのプロジェクトでかかわったところとしては、愛知県の吉良町も今は西尾市の一部になって(2011年から)しまったのですね。因みにここは全想定ケースで予想最大震度が7となっていますので、高い津波の問題とも相まって、早急に対策を進めておく必要がありますね。
沿岸部の市町村ではどこでも検討されていると思いますが、早期避難と同時に、長期的な復興まで視野に入れた防災ビジョンを策定しておくことが肝要です。南海トラフの巨大地震の被害想定関連資料は内閣府のホームページ(http://www.bousai.go.jp/)に公開されています。
つぼつぼのprofile
国立研究開発法人 防災科学技術研究所
防災情報研究部門
所在地
茨城県つくば市天王台3-1