坪川です。先日報道された茨城県保険医協会の調査による311震災以降の在宅医療介護状態にある高齢者の死亡数の統計はいろいろ考えさせれられるものでした。この調査は福島、茨城、千葉の3県について、昨年3月以降の4か月間に死亡した高齢者の数が前年比の29%増になっているというものです。注意すべきはこの統計には被災程度の大きい岩手県や宮城県が含まれていないということです。
介護に至る事情はいろいろあるので、一概には言えませんが、在宅での介護は同居する家族の負担も大きく、震災の影響がさまざまな形で命の存続に影響していると思われます。このような構造を私たちはこれまで十分に検討してきませんでした。平時における災害に対する個人の脆弱性を認識するための指標もありません。これからは個々人や世帯単位で、災害や非常時における脆弱性が可視化できる仕組みが必要です。
この問題については、私自身が担当しているテーマでもあり、来年度には出来れば具体的な提案をしていきたいと考えています。
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国立研究開発法人 防災科学技術研究所
防災情報研究部門
所在地
茨城県つくば市天王台3-1