坪川です。防災マップやハザードマップに限らず、私たちの周りにはさまざまな地図表現が溢れる時代になりました。書店に行けば目的別にカラフルな地図帳が並んでおり、世界や社会を(時には歴史や時代を)理解するための道具としての「地図」は、もはやなくてはならないものの一つと言えるでしょう。
そのような中にあって私たちは地図表現の「限界」にもしばしば突き当たります。その一つがメッシュマップです。メッシュ(矩形)によって表現された地図は「地震動予測地図」に代表されるように、さまざまなシミュレーションの結果を表現したもので、それ自体は科学的に意味のあるものではありますが見るときには注意が必要です。このような地図で使われるメッシュは、いわば評価のための最小単位に過ぎず、メッシュ同士の境界には本来矩形的な不連続性は存在しないものです。一つのメッシュが持つ意味には、そのメッシュ内に存在するもの(例えば地盤や構造物など)のすべての情報に基づいて総合評価された結果が反映されているのであって、一つ一つの建物や、ピンポイントの地盤が表示されているわけではありません。例えば各地で作られている地震のハザードマップに表現された震度分布の地図でも、震度が大きく表現されたメッシュの中に、それより小さな震度になる地点も存在する可能性があるし、逆に震度が小さく表現されたメッシュの中に、大きな震度となる住宅の敷地がないとは言えません。「解像度」という言葉を専門家はよく使いますが、これは今の技術にある意味で限界が存在していることの言いかえでもあります。
というわけで、メッシュで表現された地図の内容で一喜一憂するよりも、地域全体の状況を見据えて防災対策を考える視点が必要です。鳥の目、虫の目という言い方がありますが、まずは全体を見る鳥の目が要求されそうです。
2月12日に栄小学校で行われたつくば市の地域防災訓練は、市の社会福祉協議会の方々の大きな働きで盛況に終わりました。体育館には400名以上の参加者が溢れ、自宅からの一時避難場所への移動ルートの確認、防災ドラマの実演、子供たち向けの防災クイズや、みんなで楽しめる防災マップ作りも行われました。また大船渡でも岩手県主催の防災フェアが行われ、多くの子供たちによる被災地の空中写真ジグソーが行われました。これらの防災ジグソーマップは、多くの方の関心を集めていました。