坪川です。第2回地域発防災ラジオドラマコンテストの受賞作品が決定しました。先週9日に東京国際フォーラムにおいて、大森一樹監督(大阪芸術大学教授)を委員長とする審査委員会で議論され、台本部門、ドラマ部門の2部門について、受賞作が決まりました。審査結果はこちらから確認できます。
今回のコンテストはなんといっても東日本大震災の直後からスタートしたので、具体的に震災をそれぞれの立場で目撃した人たちがドラマを作るという状況になりました。この状況が災害のすごさや残酷さを表現するうえで、リアリティのある作品となるように働いたかというと、私は必ずしもそうではない気がいたします。実際応募された作品の中には、東日本大震災をきっかけに、地域防災を見直すという視点のものもあります。しかし多くの作品は、災害のイメージは(震災前と)あまり変わっておらず、結果的には新しく重要な視点をもった作品というものは多くなりませんでした。
いっぽうでドラマづくりそのものについては、主に技術的な面ですが、かなりクオリティが高くなってきています。これらの質の高い作品は学校や地元FM局が関与して生まれたものが多く、その意味では直接の作成主体が従来型の自主防災組織や自治会が軸となって生まれるドラマはあまり多くありません。学生は地域にとって今後の日本社会の防災を考えるうえで、欠かすことのできない要素となりつつあるといえるでしょう。
もう一つ、地域の主体として忘れてはならないのが民間企業(営利企業)です。真っ向から企業がドラマを作った例は今年もありませんでしたが、ドラマの中には通信事業者などがドラマシナリオの作成段階で積極的に関わりを持っているケースもあります。企業は第2の住民として、地域に何ができるのか、いよいよもって考えることが大事な時代になっているのです。
3月4日(日)には東京国際フォーラムで、防災コンテストの表彰式とっシンポジウムが開かれます。間もなくご案内のページが開設されますので、ご期待ください。
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防災情報研究部門
所在地
茨城県つくば市天王台3-1