坪川です。今日(3日)は神奈川県藤沢市の自治会長の集いで講演を依頼され、きております。あと1時間後くらいに開始です。
東日本大震災は防災の常識を変えるほどのインパクトがあったため、たとえばこの藤沢の地でも、津波防災を考え直すきっかけになろうとしています。現在、市は津波のハザードマップを見直し中ですし、その1ステップとして避難マップを先行して作成、公開し、高さのある建物などへの避難ルートを住民自身が知っておくことを強く働きかけています。
これまでのブログでも書いてきましたが、災害直後の本当の応急期の対応は、行政ではとても手が回りません。それこそ、家庭、近隣での支えあいがなければ、助かる命も助からないということがいっぱいあるのが事実です。ですので、その部分については正しい情報と、冷静な判断力で、被害を最小限にする適切な行動が望まれます。今震災の被災地でも近隣関係から生まれた互助の働きは、たくさん見てきました。なんとか命だけは助かるような、仕組みづくりを急がねばなりません。
もう一つ、この藤沢市には海という大きな観光資源があります。これが津波という災害と裏表の関係にあるため、両立がうまくできるかということも大きなテーマになると思われます。もちろん海が観光資源であるという意味では三陸沿岸もそうですし、さらには産業資源でもあることを考えると、事態はいっそう深刻です。何もなければ美しい海ですが、ひとたび牙をむくと人間の力ではとても抑えきれないエネルギーの爆発を目の当たりにしたのが、東日本大震災でした。観光と安全という論議をより深めていき、もっと豊かな町として藤沢が発展していくことを期待しています。
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国立研究開発法人 防災科学技術研究所
防災情報研究部門
所在地
茨城県つくば市天王台3-1